もう一つの物語 フィクションです。
私は学校でいつも通り休み時間一人で本を読んでいた。
クラスメイトとは仲は良いが、授業で話したりするだけであまり話さない。
話しかけてみればもっと仲良くなれると思うが、あいにく自分には話しかける勇気がなく、一人で休み時間を過ごしている毎日だ。
今日読んでいるのは、お気に入りの本である親友二人の絆の物語だ。
いつも、親友同士の物語系を読んでいる私は、心の奥何処かで親友と呼べる人に出逢いたいと思っているのかもしれない…
ある日のこと、帰りの準備をしている時うっかり本を落としてしまった。だが、久しぶりの部活に遅れないようにと急いでいたことと、辺りがざわざわとしていたため本を落としたことに気付かずに教室を出てしまった。
部活で筆箱を出そうとカバンの中を開けたところ、本が無いことに気付き、部活終わりに教室を訪れた。
教卓のうえに、「本の落とし物です。」と書かれた花柄模様の綺麗なメモ用紙と共に今日落とした本があった。
「このメモ用紙、確か…」
一番うしろの窓側の席の松井さんが使っていたメモ用紙だ。
松井さんの席を通るときに、このメモ用紙を松井さんが使っていたのを思い出した。
次の日、松井さんにお礼を言おうと考えていたがなかなか話しかけれずにいた。
松井さんに話しかけるタイミングを休み時間が始まってからずっと見計らっていた私の視線に気付いたのか、松井さんが私の席まで歩いてきて、
「昨日落ちてた本、星さんのだったんだ。」
と私が手に持っていた本を指差して言った。
私は少し慌てながらも
「あ、うん。そうなんだ。昨日は拾ってくれてありがとう。」
と言った。
私は、松井さんの様子を伺おうと顔を見ると、松井さんは目をキラキラとさせて、
「もしかして、その本好きなの?」
ときいてきた。
気に入っている本だったため
「うん」
と答えると
「私もその本好きなんだー!その本好きな人に出逢えるなんて嬉しい!」
と答えた。
残りの休み時間は、松井さんとその本についての話題で盛り上がった。そして、松井さんと親友になった。
3年がたった今、あの本を久しぶりに読み、そのことを振り返った。
今でも松井さんとは大親友。
あの本には、二人の親友の絆の物語ともう一つの物語…松井さんと私の物語がある。
時間よ止まれ
時間が止まってほしい時、時間は止まらない
時間が進んでほしい時、時間は進まらない
これまでずっと見えてきた事が今は見えず、
これまでずっと見えていなかった事が今は見える。
時間がたつと考え方が変わるのって不思議
夜の中、星のように光る街の明かり。
点滅している光
赤色の光
たくさんの光がある
夜の闇に消えずに
ここではないどこか
行きたい場所がある。
でも、行きたい場所は本当にあるか分からない。
ただ、一面の田んぼみちを歩けて、緑がたくさんある
そうゆう理想で、想像の場所だから。