六花

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4/13/2023, 8:44:15 AM

鳥には翼がある。
其の翼は、何処へだって行ける。
この窓から見えるあの空の向こうまで。

嗚呼、私も遠い遠いあの空の向こうまで行きたい。
翼で無くとも丈夫な身体があればいいのに。

私の余命はあと数年。
皆は私に色んな写真を見せてくれる。
色んな所を知れるから嬉しい。
でも、ね?
私は自分の目で、身体で、感じたいの。
風の音、その場の雰囲気や食べ物、香りを、
身体で感じて見たいんだ。
無理なのは知ってるけどね(笑)

来世は鳥になりたいな。
あの遠くの空まで飛んで行けるから。
見たかった街並み、自然を空から見てみたいな。

この世への未練が
           ちょっぴり残っちゃった。



お題〚遠くの空へ〛

4/10/2023, 1:53:41 PM

拝啓、ーーーさんへ。

今年も春爛漫という言葉がぴったりなほど、さくらが咲き誇る季節となったでしょう。
其方は如何お過ごしですか。

ところで、現在のーーーさんはどのような日々を過ごしておられますでしょうか。
以前、と言いましても10年程遡ってしまいますが、
その頃の貴方はとても真面目で冷静な方でした。
現在の貴方を知ることが出来ないのは非常に残念です。ですので、こうして手紙を書かせて頂きました。

これを読んでいる時、貴方はとても驚くでしょう。
何せ高校時代の時からサボる事が多い僕の事ですからね、自覚はあります。
きっと貴方は、毎年この季節になると思い出と共に後悔をされているでしょう。
ですが、後悔はされなくて結構ですよ、何せ僕の独断ですからね。
貴方が悔やむ必要性は何処にもありません。
ですので、貴方は僕の事など、
"自分と正反対な幼馴染"とだけ記憶してください。
あの時の事はもう忘れてください。

こんなにも自分勝手にしてしまい申し訳ありません。
こんな僕の傍に居てくれて、嫌って程感謝してます。

あの時止めに来てくれてありがとう。
あの時泣いてくれてありがとう。
あの時話を聞いてくれてありがとう。
あの時怒ってごめん。
あの時約束を破ってごめん。
あの時突き放してごめん。

こんな幼馴染で、
             ごめんね。

                君の幼馴染 より、

4/9/2023, 10:24:22 AM

貴方の事が好きだった。
誰よりも、ずっと。
けれど貴方の目にはあの子しか写っていない。
私の親友の、あの子。
あの子は気付いていない。
彼からそんな目で見られていることを。
けれど私は知っている、彼の気持ちを。
どうしたらいいかな、?

この気持ちは彼に伝えてもいいのか?
彼の気持ちをあの子に教えた方がいいのか?

否、何もせずにいた方がいいのだろう。
片思いは苦しい。
けれど親友が自分のせいで悩むのも嫌だ。
だからこの思いは誰にも伝えない。
誰にも言わない事実にしよう。

嗚呼神様、何故貴方はこんなにも残酷なのでしょう。



お題〚誰よりも、ずっと〛

4/8/2023, 11:05:49 AM

息苦しい、辛い、しんどい。
毎日が苦痛だ。

お母さんは殆ど毎日居ない。
浮気相手に会いに行っているんだって。
お姉ちゃんはもう会えないんだって。
家出をしちゃったから。
お父さんは夜に居たり居なかったりする。
お外で遊んでるんだって。

お父さんが家から帰ってきたら、僕に怒鳴ってくる。
殴ったり、蹴ったりしてくる。
でも、お父さんの機嫌を損ねちゃうともっと痛い。
やめてって言っても聞いてはくれない。
毎日毎日、しんどいよ。

たまに帰ってくるお母さんは、僕を見て、
『汚いわね、あっちへ行ってなさいよ』
『醜いわね。なんでこんな見た目なのかしら』
お母さんは僕の事が嫌いみたいだ。

お姉ちゃんは家出をした時に、
『ごめんね。でも、私も耐え切れないのよ。』
ゴメンなさい、ゴメンなさいってずっと言ってた。
お姉ちゃんは何も悪くないのにね。

この家に僕の居場所は無いのかな?
これからも、ずっと。
こんな毎日がこの先もずっと続くのかな?
嗚呼、お姉ちゃんが家出した理由が今わかったよ。
誰か助けてくれないかな、?
無理な願い事かもしれないけどね (苦笑)


お題〚これからも、ずっと〛

4/7/2023, 1:34:01 PM

一人の患者が窓から夕日を見ていた。
『沈んじゃった。また一日が終わったね。』
彼女は寂しそうに笑っていた。
「終わっちゃったね。」私も笑った。
彼女の余命はあと一年半位と医者に言われていた。
助かる可能性なんてほぼ無いに等しかった。
『やだなぁ』彼女はそう呟いた。
「そうだね、私もやだよ。」貴方が居なくなるのは。

彼女は入院する前に、私を遠ざけようとした。
でも、私は貴方が泣いているのを知ってしまった。
学校には転校と言って辞めていた。
私は出来るだけ残り少ない貴方と居たかった。
でも貴方は、『学校での話、聞かせてよ。』
なんて言ってさ。
だから午前中だけ行って、お昼は貴方と食べる。
そんな生活をしていた。

一年たったある日、貴方はよく夕焼け空を見るようになった。
残り半年。
医者に言われた通りならば、残された時間は少ない。
貴方は何時も沈んでく夕日を見て、
『もっと生きていたいな』
『ホントに死んじゃうのかな』
そんな事を言う。
やめてよ、実感しちゃうじゃんか。
もう少しで貴方が居なくなることを。
貴方と見ている夕日は、沈んでいく夕日は、
とても綺麗で、貴方の命の灯火のよう。
何時かは消えてしまう、綺麗で、寂しいもの。

あの太陽のように、貴方は戻っては来ない。
夜が来て、朝になれば太陽はまた、輝いている。
けれども貴方はもう居ない。
私はもっと、貴方の傍に居たかった。

夕日を見る度に思い出す。
夕日が沈んでいくのを見る度に。
貴方と過ごした思い出を。

貴方の持っていたカメラの中には、
夕焼け空を眺めている私の写真があった。


お題〚沈む夕日〛

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