灯火を囲んで、風に揺れる炎を眺める。
チロチロと揺れる度に、
暗い紅色の光と闇が打ち寄せあって、
まるで別の場所のようだった。
もはやこの一瞬に100年たとうとも、
この風景は変わらぬだろう。
チリ、とふと指が痛む。
その時突然、昨夜の怪我を思い出し、
利き手ごと炎に透かし見た。
しかし、そこには、あったはずの傷が無い。
それも、薬指
キンモクセイの香りってトイレの消臭剤のイメージがあるでしょ?海外ではラベンダーの香りがそうらしいよ。帰り道に教えてもらった。不思議な香りだっていつも楽しそうに話してるから、彼女の国にはキンモクセイは無いのだろう。ギンモクセイって言うのもあるんだって教えてあげたいけど、そこまで語学能力が無いのが残念。私はギンモクセイのあの粘土みたいな香りも結構すきだけどな。
そして、ウィズは下を向くのを辞めた。
斜向かいに座った、
人形じみた美貌の魔女を直視する。
真っ赤に燃え盛るようなその双眸を目にしながらも、
まっすぐその目を射抜いた。
さあ、
今までクラスメイト達だったものを背にして、
全員で生き残るための最初の1歩を。
「ねえ、貴女、」
tiny loveってお店知ってる?
最近西口にできたんだって。
宝石の専門店で、
イギリス人の宝石商が
本物の宝石だけを取り扱ってるらしいよ。
宝石商なんて今どき居るんだね。
いつか恋人と行ってみなよ。
いいものが見つかるかもしれないよ。
涼やかな音色が縁側から聞こえてきた。
目が眩むような明るさから逃れ、
暑い季節を体感する。
山の向こうで海のような青とコントラストを描くように、白い大きな綿菓子が浮かんでいた。
僅かな眠気と重力に従って、
背中を畳にくっつけて寝返りを打つ。
そこには深く息を立てる君がいる。
胸の上下がいつもより長くてはっきりしている。
僕も真似をしていつもより大きく息を吸う。
途端にいぐさの匂いが鼻腔をくすぐる。
少しずつ呼吸を緩めると、
身体中が僕の支配下から逃げ出し始める。
指の先が言うことを効かなくなるのを感じながら、
断片的に君のことを考えた。
それでも少しづつ意識は薄れていく。
どんどんまぶたが重くなり、
最後に君の顔がぼやけて消えた。