楽園とは?
「楽園、ねえ」
調査段階の事件は星の数ほどあるが、永遠に調査が終了しないことは少ない。調査が終わらない。要はその事件が迷宮入りしたということだが、単純に何十年も被害が出続け、犯人も見つからず、しかもその被害が特に被害者が出るようなものでも無いため、調査を続けるしかない事件が全国区で毎年1,2件程度起きる。こういう調査を、まとめて管理しているのが警備隊調査局の管理企画課である。俺が所属している部署でもある。まあほぼ迷宮入りした事件を集めている性質上、ウチの課を「迷宮」などと呼ぶ人は多い。
快晴の中まるで墓所から這い出てきた吸血鬼のごとく青白い肌と顔色を持つ彼女は浮いていた。日中ほとんど室内から出ることのない彼女のことを噂好きな人々は、犯罪の被害者なのだとか、実はロボットなのだとか好き放題言っているけれど。実際のところは、極端に体が弱いだけで、主治医に言いつけられている通りにごくわずかな散歩を月に数回行っているのだ。まぁこのような理由だから、今回のように日中にそれが行われることはまずないと言っていいだろう。
安らかな瞳をこちらに向けるまだ生まれて十何年程度しか経っていない小さなイキモノ。
小さなイキモノばかりを同じ部屋で展示しているここは、有名なショービジネスの勝者の遺伝子から作成されたイキモノを展示販売している。
イキモノたちからこちらが見えないようになっていて、ストレスなく生活している。
物憂げな空に引きずられ、
なにかを忘れている時のなんだかモヤモヤした気分のまま業務終了。
夜ご飯は何か作るか、それとも買って帰ろうか。
そういえば出先で中華を食べたから中華はやめよう。
あの業務は明日やらなきゃいけないな。
などなど。
考え事のせいで道を曲がり忘れ、いつもと違う道を通ってスーパーまで行くことにした。
スーパーまで薄暗い道を歩く。
都心から僅かに離れた住宅街は夜遅くともなれば
人気がない。
チカチカする街灯に照らされながら、去年流行ったホラー映画を思い出した。
切れかけの街灯の奥に、まだライトが着いたお店のようなものが見えた。
その瞬間、どこからともなく非常に美味しそうな出汁の匂いがして、なぜ今まで気づかないかったのか。
早足で近づいていると、
ガラガラと店が開いてバンダナを頭に巻いた、
痩せた青年が出てきた。
Love you
なんて今どき流行らないと思う
SNSが進化し、多様化が染み付いた社会では、
スタンプ一個で代用できる
それでも、