竜胆

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3/4/2025, 6:25:04 PM

「約束なんて今まで守った事ないだろ」
「今回は必ず返すから。約束するって!!」
「本当だな?じゃあ必ず返せよ」
「ありがとう!お兄ちゃん」

__このやり取りは先月のもの。
お金を借りては踏み倒す義理の妹のせいで、
電話を録音する癖がついた。

先月の初めに妹から、金の無心をする連絡があった。
ちょうど会社から臨時ボーナスが出たので、
いつもなら5回ほど連絡があるまで貸さないが、
(妹が本当に必要な時にしか貸したくない為だ)
あの電話のやり取りで、
あっさりボーナスから10万円を貸した。

この行為が全ての問題の始まりだと気付いたのは、
昨日の夜中である。

例えば貸したお金が帰ってこないだけなら、
初めての事でも無いので諦めがついた。
しかし、金を返さない妹のアパートの大家から
夜中に電話が来たことには流石に驚いた。

電話の内容は、
妹が俺を保証人にしていて、
5日前に家賃を踏み倒して逃げたから、
俺が代わりに払ってくれと言う内容だった。
保証人としては、
俺の承諾もサインもないため無効だが、
どうも問題はそれだけでは無いらしい。
大家の話によると妹とその彼氏には息子がいて、
その息子が7日ほど家から出てきてないそうだ。
息子が生きているか心配なので
確認して欲しいと連絡をくれたのだ。
その子供の年齢はなんと7歳程度。
学校には通って無いそうだ。
まだ若い妹に子供は居ないはずなので、
彼氏の連れ子だろうと当たりをつけた。









1/29/2025, 1:56:05 PM

日陰を歩いていた。
休日なのに特に予定もなく、
ただ晴れてるからと大学と反対の方向に出てきた。
アパルトメントのある通りは日陰になりやすく、
家賃が安い為、僕のような学生が沢山住んでいる。

通りをぬけ、広い場所にでた。
酷く晴れた空と石畳のコントラストが目に染みる。
オープンテラスで昼間からビールを飲む人々の喧騒、
観光客の声、遠くの教会から鐘の音が聞こえる。
晴れているからかとても暑い。
行きつけのカフェーでアイスクリームでも食べるのがいちばん良い選択のような気がした。

1/26/2025, 3:27:54 PM

わぁ!
なんだこれ!?

え、プレゼント?
私に?
ありがとう!!

わ〜超大事にするね!
お返しは期待しといてよ〜!

1/9/2025, 11:52:45 AM

星のカケラってお菓子を知ってるかい?

町外れの小さなお菓子屋さんにある
和菓子のことなんだ。

今、和菓子なのに洋風な名前だって思ったでしょ。


12/25/2024, 2:58:05 PM

クリスマスの過ごし方に決まりは無いが、
オレは一度もケーキを食べたことがない。

だから死ぬまでに1度だけ、クリスマスケーキを
食べてみたいと思う。

雪のちらつく路地裏に、
血みどろで転がっているオレには無理だろうか。

こんな家業に生まれついた者の運命だろう。
人を殺して、最後は殺される。
その為だけに生まれてきたたくさんの同僚たち。
成人できる者の方が少ない世界を生き延びるには、
ケーキなど食べる暇が無かったのだ。

すぐに追手が来ることだろう。
そしてオレは出血多量で目の前が真っ白だ。
もう一歩も動けそうにない。
寒さも分からないくらい血の気が失せている。
最悪だ。
このままでは本当に此処で死ぬことになる。
覚悟は出来ている。
いつか来る日を楽しみにしてさえいた。

だが。
クリスマスケーキを食べたい。
こんなことが人生最期の言葉になるなんて。
そんなのは、

「…絶対に嫌だ」

白い息が吹き出した。
どうにか壁に背中をつけてずりずりと立ち上がる。

「クリスマスケーキを食べるんだ…!」

まさかクリスマスケーキを食るために逃げるなんて、と面白くなって笑ってしまう。

次の瞬間。
ガチャリ。と音が鳴って、
何かがぶつかった音がして、世界が暗転した。





「あっ、目ぇ覚めたん?」
「…?ダレ?」
「それはこっちのセリフやで。
僕はな?
昨日の夜外のゴミ箱行こ思うて、
戸を開けただけやねん。
したらあんたが倒れてきたんや。
なんにもしてへんのに人は倒れてくるわ、
そいつは気ぃ失ってるわ、
血みどろやわで大変やってん。
応急処置せなあかんし
何をしとったんやあんな所で。



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