一ノ瀬

Open App
9/19/2024, 4:23:53 PM

「 時間よ止まれ 」

眠い目を擦りながら時計を見ると、目覚ましが鳴る10分前に起きた。
いつもなら彼が先に起きてるのに

「めずらしい」

彼が起きる前に歯磨きとか身支度済ませようと思ったけど
寝息を立てて寝る君の姿が愛おしくて、愛おしくて
じっと見つめた。

「あ」

こんなところにホクロある、まつ毛意外と長いなぁ、肌気にしてからどんどん綺麗になってるし
私が教えたスキンケアちゃんとしてて偉い

あぁ、ほんとは君の第一声が聞きたいのだけれど
このまま君の顔を見つめるお仕事もありだな

時間よ止まれなんて時計に願っても針は動き続ける。

もうちょっとだけ、君の横楽しませてね。

8/31/2024, 3:55:51 AM

『 香水 』


香水が好き


シュッとワンプッシュ


自分の好きな匂い


キンモクセイに、スズラン、薔薇、百合、すみれ

レモンに、桃、オレンジに、ブドウ

スタンダードな石鹸の匂いも好きだ。


色んな香水と出会ってきた私がたった一つ、買えない香水がある。


どこを探しても見つからない。

どこのお店にも売っていない。


ただ1人の特別な匂いを知ってる。


それは君の匂い。自然のままの君の匂いだ。

好きになってから今日まで、ずっと君の匂いが離れなくて。

心地良い君との時間が何よりも好きで、ずっと一緒にいたいって思ってた。


でも、私には買えなかったのだ。


君の心を掴むことは出来なかった。

8/29/2024, 12:32:09 PM

『言葉はいらない、、ただ』


ただ、会いに来て欲しかったなって。


デートしたかったなって。

8/25/2024, 10:33:56 PM

『 向かい合わせ 』


今日はいつもより早く電車に乗った

いつもより少ない乗客数に、いつもより静かな電車

私は人の少ない席に座って、カバンから一冊の本を取り出す。

「春に君に」という小説だ。

主人公がヒロインに恋をして、でも主人公にはとある難病が見つかって、余命判決を下された。
それは主人公が高校を卒業する頃だった。
主人公は残りの余生を楽しむために、ヒロインに猛アピールするんだけど、中々振り向きはしない。
けれど2人の中はどんどん縮まって、ヒロインが主人公に恋心を寄せ始めていた頃、主人公は倒れてしまったのだ。
病気のことも知られてしまい、ヒロインは毎日時間がある限り病室で彼との時間を過ごした。
病室のドアを開くと、主人公はいつも笑顔で出迎える。
かっこ悪い自分の姿を見せないために、本当は辛いくせに、無理してヒロインに笑いかける。
それを悟っていたヒロインは冷たく彼に当たるが、彼はずっと笑い続けていた。

「 君が好きだよでもごめん、僕は 」

「 告白なんてしないでよ!私はあんたのことなんて! 」

「 ……僕は君の隣を一緒に歩けそうにないんだ 」

「 … 」

分かってた、彼がもう長くは無いのも。

でも、彼が好きだという気持ちには嘘は付けなかった。

「 貴方の隣には今誰がいるの? 」

「 …え 」

「 私がいるでしょ、歩けなくてもこうやって貴方の傍にいるから。私の隣は君専用の特等席なんだから」

だから……


読んでいる途中にガタンと電車が大きく揺れて、停車する

読んでいる文字に目を離し、乗客口に目をやった。

いつもより少ない乗客数、に彼は居た。

なんで、いつもより早い時間に乗ったのに。

彼も驚いていた、彼はいつも私と向かい合わせの席に座るのに、今日は隣に座ってきた。


「 おはよ 」

「 …おはよう 」

「 なんでいつもより早く乗ってんの 」

「 それは、こっちのセリフ 」

「 俺に会いたくなかったから? 」

「 そうかもね 」

「 奇遇だ、俺も君に会いたくなかった 」


電車が揺れ始めて、私はまた小説に目をやる

彼もカバンから小説を取りだして読み始めた

私も彼らみたいに気持ちが伝えられたら、でも出来なくて
卒業式の今日、気持ちを伝えぬまま終わろうと思っていたのに。


君は乗ってきた。


いつもより早い時間なのに、いつもと変わらない君が乗ってきた。


隣でページをめくる音が聞こえる。

君におすすめした小説、読んでくれていたんだ。

しかも終盤、いちばん面白いところ。


あぁ、私は気持ち伝えられそうにないや。

絶対後悔するだろう、後悔するためにいつもより早く乗ったのに。


私に後悔させないために君は乗ってきたの?


小説にもあった「 一度きりの人生を 」


その言葉を思い出す。


「 あのさ 」

「 ん?なに 」

「 私さ…あなたのこと 」

8/23/2024, 3:37:17 PM

『 海へ 』


この間海へ出かけた

初めての海だった。

初めて感じた、これが潮の匂い、
砂浜に足跡を残して、波が来るのをじっと待つ


あ、この波は大きい


そう思った瞬間、波は私の足に届いて濡らす。


海って面白くて怖い

この海の先の先の、さらに先
私の知らない島が拡がっていると思うと面白いと。

そして、簡単にこの海飲まれてしまう恐怖。


それでも、海へ行ってよかったと心から思えたんだ。

Next