あいまいな空
──…さっきまで暗かったのに、もう水色だ。
──わかるよ、この時間はいつも"あいまい"だよね。
──…そうだね、いつも曖昧だ。
──これからどこに行くんだい?
僕はここに居なきゃいけないけど。
──…どこか遠くへ。君が見えない場所まで。
街
音符が飛び出すような軽やかな足取りで。
腕にはたくさんのショッピングバッグ。
新しいサングラスをかけて商店街を抜ける。
ブーツのかかとはげんきに音を鳴らす。
ここは、夢の街。
ここは、夢の国。
ここは、夢の星。
ここは、世界中の楽しいが漂う場所。
大きな車に荷物を詰め込んで、
「さあ、もう一回だ!商店街へ突入だ!!
せっかくなんだ、"夢"を楽しもうじゃないか!」
足を踏み出すと、愉しげな街の声が聞こえる。
朝日の温もり
船の上で目を覚ます。
カーテンで閉められたこの部屋は薄暗い。
揺れる船体にカタカタと動くレコード達。
カーテンをジャっと開けて甲板へ出ていく。
ぶわりと潮風が体を冷やす。
朝日が体を温める。
今日も海賊のラジオが始まる。
サングラスは朝日の温もりを反射する。
失恋
戦場で、硝煙の中に見える薄いグレーの瞳。
見なかったふりをした。
その瞳はゆらゆらと彷徨い歩いているようだった。
何かを探すかのように。
銃声が、聞こえたかもしれない声を掻き消す。
ドカン、と後ろから大きな音がした。
仲間の身体と土と武器とその他諸々が飛んでくる。
後ろは死地だ。
前を向け。
前を向け。
前を向け。
光と熱が、体を焦がす。
感じた鼓動は、何だったか。
正直
もくもくと黒い煙が浮き立つ。
美しい国の面影は消えた。
だが、ここに掃除屋の少年が居る。
彼はどこか達観しているようだ。
でも、それでいても、自分の気持には正直だ。
彼はこの国をもう一度、美しい国にすることを誓った。
たとい何世代も続こうとも。
霧を払い、煙を払い、煤だらけになりながら闘う。
彼は、最も愚かな男。
でも、正直者。