伝えたい
嘗て貴方は言いましたね
想いは、或いは思いは、人から人へ渡るのです。と
決して、喪われていいおもいはないのです。と
ならば私は、渡す相手のいない私は
誰に、何に、渡せばよいのでしょうか。
このおもいは、喪われてしまうのですか
貴方がいなければ、伝えることもできないではないですか
神よ、神よ、もし貴方様が観ているのなら
このおもいをどうか、どうか、あの御方にお伝え下さい。
今からそちらにお窺いいたします。
優しさ
やさしい、ってなんだろう。
考えてみた。
やってみた。
まずその1、
泣いている人がいたら声を掛ける。
大丈夫?
…………
ねえ、大丈夫?
…………
声も出ないくらい悲しいことがあったんだね。
大丈夫だよ、私は味方だよ。
………ぃ
ん?どうしたの?
うるさいよ!さっきから、うるさいの!どっかいって!ひとりにして!ほっといてっていうのがなんでわかんないの!?うざい!!
シミュレーション終了。
私は優しくできていたかな?
特別な夜
サラサラの雪が降る。
視界が少しくすんでる。
名前を呼ばれた気がして、
真っ赤な帽子が目に刺さる。
シャラン、シャランと
涼やかな鈴の音。
真っ白な世界に
ふわり、
漂う魂。
もう、さみしくないね
海の底
口にいれると、ジュワぁっと味が溢れてくる。
旨い。そうとしか言いようがないくらいに、旨い。
「お気に召されましたか?"王子"」
「ああ、毎日でも食べたいくらいだよ、この……」
『海の肉』
──────
どうして
しん…と教室が静まりかえる。
皆は僕らを見ていた。
「いっ……」
机にぶつかりながら崩れ落ちた彼奴
僕の手には開かれたハサミ。
「…………」
誰も彼もがこっちを見る。
ガラッと先生が入ってきて
みんなを見て、僕を見て、彼奴を見る。
「な、なにやってるんだ!」
乱暴に教室の壁に追いやられる。
ガシッと肩を掴まれてイタイ。
僕の手からハサミが落ちる。
その音を皮切りに
みんなが恐怖を示し始める。
「だ、だいじょうぶ…?」
「いてぇ…マジ痛えんだけど、血が、」
ざわざわと彼奴の方に群がる。
コッチには見向きもしない。
腕から血を流す彼奴を見て
殴られたお腹が、絞められた首が
当時の痛みを思い出していく。
どうしてみんな
そっちにいくの?
僕を見る目は何でかみんな、冷たかった。