忘れられない、いつまでも
幾年もの時が過ぎた。
街はすっかり元の活気を取り戻しつつあった。
これから、人間はまた
愚かに繰り返していくのだろうか。
かつてを忘れて
今を愚直に開拓していく。
それでも
悠久を生きるこの体を
幾万もの命を見送ろうと
忘れられない出来事
数えきれない恨みと感謝を
背負って
活きていく。
一年後
高校に入学して一ヶ月くらい。
入学式の直後に連続で休んだ。
ただ、なんとなく。
漠然と恐怖が募った。
体調不良を理由にして休んだ。
程なくして、親に
出席日数が足りなくなる。
と叱られた。
本当に体調を崩して休むこともあった。
ただ、怖かった。
眠れなくなった。
固形物が喉を通りにくくなった。
これから
ちゃんと進学できるか
とても不安だ。
君と出逢ってから、わたしは…
スマホの通知がなる。
読んでいた本をしおりを挟んで閉じる。
スマホを開いて通知を見ると
「…っ!!」
思わず大きな声を出してしまいそうになる。
3、4年前ぐらいから聞き始めたバンド。
最初はライブ配信も同接が10人いるかいないかだったのに
ここ最近テレビに取り上げられたりして
とてつもない勢いで名前が拡がっている。
それが
「ワンマン…ライブ……!!」
遂に、ついに
彼らの歌が生で聞ける。
胸のあたりがぎゅうっとなって
漠然と『嬉しい』という想いが込み上がってきた。
始めて彼らの歌を聞いたとき
共感
それが一番合う感情が出てきた。
特にそれ以外に何もなかった筈なのに
ずっと、今になるまで聞き続けている。
この感情は、
彼らの歌を聞く度に
込み上げるんだろうな。
大地に寝転び雲が流れる・・・目を閉じると浮かんできたのはどんなお話?
「おはよ。」
すこし低い、女性だとわかる声が聴こえる。
「早く起きないと、わたし、わたしいなくなっちゃうよ?」
薄く目を開けてみる。
そこには
音も影も何もなかった。
ほんの少しだけ
昔の約束
思い出してしまった。
優しくしないで
今日も変わらず学校に行く。
昨日のことは
何もなかったことにしよう。
「おはよ〜昨日ダイジョブだった?やなことされてない?」
昨日と変わらず声をかけてくる。
「うん。ダイジョブだよ。ありがと!」
違う。
「そっか…よかったぁ~!」
ごめんね。
「なんかあったらちゃんと言ってね!私がぜーいんぶっ飛ばしてやるから!」
「……いつもありがと。嬉しかったよ。」
だから
「もう話しかけないで。」
怖いから。