「君は何故真夜中ばかりに起きるのだい?」
誰かは忘れてしまったが、いつだか聞かれた質問だ。
たしかに僕は動物で例えるなら夜行性だ。
何故…か。
「僕にとって真夜中は自由な空間だ。誰もいない静かな空間、光のない世界、限度を考えてやりたいことをやって、したいことをする。だから僕は朝より真夜中に起きる。これほどいい時間はないとは思わないかい?」
「はぁ…」
溜め息をつかれた。
なんか悪いことを言ったのかな?
「…ほんと君らしいよ」
「そう?でも、君は真夜中に起きてようとは思わないの?」
なんとなく気になって聞いてみた。
「思わないね」
「…そんなもんか」
わかんないなぁ、それにたとえ君が友達でも言えないな僕が真夜中を好むのはすべてを忘れたい一心なんだって言ったら君は何というのだろうね。まぁ、そういうところだけで優しい君は一歩つっこんでこないんだよね。
さて今日もいつも通り起きよう。
自由な時間はこれからだ。
# 5
愛があっても何でもできることはないと僕は思う。
愛があって何でもできるのなら、この世に後悔も絶望も
失敗もきっと存在しないのだろう。
誰しもが愛を貰って育ったわけじゃない。
つらい思いをしたり、苦しんだり、一人ぼっちで生きてきたりする人も存在するのだ。
現に僕も愛を貰って育ったわけではない。
だから普通の価値観も普通の家族がどんな感じなのかも僕にはわからない。
僕の周りにはちゃんとした愛情を貰って育ってきてる人が多いのだ。
だが、一ミリたりともそれが羨ましいと思ったことはないのだ。
きっと僕はこれからも愛を貰うことは無いのだろう。
だから思う、愛があれば何でもできるのなら、愛を貰わずに育った人々は愛を欲しがる。
愛があっても意味はない、価値もない、ならば人は何故愛があれば何でもできるという解釈をするのだろう。
愛なんて人が生み出した
ちっぽけな感情でしかないのにね。
愛があれば何でもできるなんてただの戯言だ。
僕はそう解釈する。
だって愛なんていつかなくなるのだから。
# 4
後悔とは何か…
きっと、人それぞれに存在するものだ。
先にこれをしていれば
最初から行かなければ
その人を誘ってなければ
他にも色んな後悔が存在すると僕は解釈している。
だからといって、僕が後悔したことはないと言ったら
それはとてつもない嘘になるだろう。
後悔…。
一番の後悔は苦しんでる友達を助けるのに時間が掛かり
苦しめる時間を伸ばしたことだろう。
なにがあってもあの出来事を巻き返すことはしたくないとあの日決めた。
自分の身を削ってでも次は助けるのだろう。
でも、あの日の出来事は今となっては笑い話…。
「あの時はまじでやばかったね〜笑」
「確かに、大変だった」
「もう!ほんとあいつ良くないよね!」
怒りながら笑う友達を見て思う。
笑い話にしないでよ…。
僕はあの日のこと後悔してるんだよ?
君を長く苦しめたことに……。
# 3
「風に身をまかせるとしたらどうしたい?」
ふと、そんな質問をされた。
うーん……
「僕は…どっか知らない場所に飛んでいきたい。
誰もいないところ。景色がきれいなところ。
あぁ、できることなら本の世界まで身をまかせ飛んで
いきたい…かな?」
「ふふ、君らしいね」
「お互い様でしょ?きみも、きっと最後だけ同じなんだから」
「まぁね、でも私だったら誰もいないところで___からそこまで飛ばしてもらおうかな」
「君も十分君らしいこと言ってるよ」
「そう?」
もし叶うなら、僕は君と約束をしていた旅に出たい…。
そんなこと言ったら僕らしくないから言わないけどね。
きっと、「君は明日は雨かな?」とでも言うのだろう?
でも、心に秘めた秘密だからね。口が裂けても言わないだろうね。
…でも僕はやっぱり君と風に身をまかせて旅をしたい。
# 2
僕はいつも家で本を読んでいる。
基本的に色んなジャンルを読むが、絶対に欠かせないのがミステリー系の小説だ。誰が犯人で、どんなトリックが使われて被害者は死んでしまったのか、それらを考えるのが僕は大好きだ。特に江戸川乱歩さんの小説が僕は、気に入っている。
最初は成り行きだった。
「ねぇ、あのさこの本おすすめなんだけどさ…えっと」
何故か行き詰まっている友達になんとなく予想がつき、単刀直入に聞いてみた。
「もしかしてだけど、ミステリー系?」
そう言うと友達はコクリと頷いた。
「あぁぁぁ、ごめんね?」
「いいよ、読んでみるよ?貸して?」
そう言うと顔を輝かせていいよっといい去って行った。ミステリー系は一回読んでみたが途中で諦めていた。頭を使うからだ。だからあまり好きではなかったが、おすすめされたら読む派の僕は仕方無くその本を読んだ。
実際読んでみると割と良かった。あまり好きではなかったはずなのにどんどん本の世界に引きずり込まれ、最終的には最後まで読んでいたのだ。自分でも驚いていた。まさか最後まで読めるなんて思わなかったから、そして帰ってきてからすぐに読んでいたため時間がびっくりするくらい過ぎていた。ここまでくると色んな本が読みたくなる。なんとなく買っていたミステリー系の本をもう一度開き読み始めた。5冊くらいあったがあっという間に読み終わった。時間は夕方くらいになっていたが僕は読んでよかったと思えていた。それくらい、今日の家の時間は本で楽しめていた。
これを読む方はわかると思うが結果僕の家での過ごし方は本で埋もれているということだ。
# 1