今日は学校が早く終わって部活もない。さっさと帰って家で寛ぎたいと、足を動かすスピードが自然に早くなる。
家に帰ったらきっと、冷蔵庫に美味しいスイーツがあるはずだ。
あ、でも昨日食べたんだった。
コントのように直ぐに思い出して、膝から崩れ落ちそうになるのを何とか我慢して家へと一直線に進み続ける。
昨日の自分に、マジでごめん。と謝りたくなった。
でもまあ、スイーツがなくとも自分にはふかふかのベットがある。ベットに早くダイブしてお昼寝をして、なんてベットの上での計画を立てる。と言っても計画とは言えない雑さだが。
あ、でも今朝、母さんが布団を干すって言ってたな。
またすぐに思い出してはさっきの二の舞を踏む。
くそ、なんで今日はこんなにアンラッキーなんだ。そう思ったところでどうにもならない。だったら床にでも何でも、寛げる家に早く帰りたい。
運の神様からごめん。って謝られた気がしないでもない。
いつもと変わらない冬の日、白い息をはぁ…と吐くことは誰でもするだろう。その例に漏れず、自分も、白い息を吐いては消えていく景色を眺める。
指先が悴んで動かしにくいけど、何とかマフラーを直して口を覆い、ニット帽を耳の上にしっかりと被せて防寒対策をする。
今日はいつもよりも少しだけ寒い気がするな。
そう思った直後、鼻の上に何かが落ちた気がした。
それは自分の体温で溶けて水になる。
雪だ。
初雪の景色はいつもの景色と何ら変わりはないはずだけど、エフェクトがかかったような、魔法をかけられたような、どことなく綺麗な気がした。
目の錯覚でもいい、今綺麗だと思ったこの瞬間を残したくて、悴んだ手でスマホを操作して写真を撮る。
今年の雪は、花びらみたいだ。
カメラ越しでは伝わらない景色を、何とか、写真を見たら脳裏に浮かび上がってくるように目に焼き付けた。
雪の花びらが舞う景色の背景は、はやり、いつもと何も変わらない景色だった。
かつて、一人の時間が好きだった。
なんでも出来るし、邪魔が入らないから集中もできる。それに落ち着きたいとき、気分が沈んだときなんかに一人だとよく考えられて個人的には楽だから。
いつかはもう、忘れてしまった君との出会いがあって、自分の思考は変わっていった。
寄り添ってくれる人がいる、その温かさを初めて感じた。
心が温まって、君とならいつまでも寄り添っていられる気がした。
君が泣いたら寄り添いたい。君を笑顔にするのは自分がいい。そして、君と一緒にいる世界を大事にしたい。
自分にそう思わせてくれた君と、やっと家族になれる。
君に一番似合うドレスでバージンロードを歩く君を、早くこの目に焼き付けたい。
君に見合う人でいたい。とタキシードを整え、君が扉の向こうで準備をしているように、自分も神父様の前へ出て準備をする。
外は雨が降ってるけど、君は雨だって似合ってしまうからどうだっていい。
君と一緒にいられる未来に感謝して、君と一緒にこれから思い出を沢山作ることが出来る自分は幸せ者だ。
昨日はたくさん雪が降った。
雪掻きが大変そうだと思いながら、重たい腰を上げて、ふかふかの上着とニット帽子、マフラーと手袋も忘れないように家を出る。
寝起きで暖房を付け忘れていたからか、既に手が悴んで、まともな作業にならない気がした。
空は雲が逃げるかのように、素早く移動しているように見えた。
これは午後から晴天だな。
自分は太陽の力を借りてしまおうと、家へ戻って暖房で温まることにした。
幸せとは?
そんなこと聞かれても他人と自分の考えは異なる。
それよりも楽しいことを想像して。
幸せの定義なんて考えるだけ無駄だと思うから。
きっと、幸せとは?なんて思わなくなったら、その瞬間の君は幸せなんだって思っておこ。「今のお前は幸せだ」なんて決めつけられるよりはきっと何十倍もマシ。
所詮、ちっぽけな自分たち人間には感情の定義なんて分かりやしないんだ。
一人間らしく、神様や仏様が驚くくらい、呑気に生きてりゃなんとかなる。きっと、なんとなくで幸せに近づけるくらいにはのんびりと人生歩めると思うよ。
異論はもちろん認める。
自分の意見、主張してこそ楽しいってもんだ。