失意の果てに底に着き、深淵の中を彷徨って。
その手に掴んだモノは何だった?
折れた剣から、滴り続ける紅(あか)は誰のモノ?
仄暗い眼窩に、見据えていたはずの光を見失う。
神にも縋る気分。
幾度祈りを捧げても、紅に塗れた両の手に祝福はなく。
やっと掴めたモノは何だった?
右手に銃を、左手には折れた剣を。
縫い止められた瞳を、もう一度開くために。
溢れた紅に刃を立てて、心(いのち)を燃やせ!
瞳を閉じて、呼吸を整え。
瞳を閉じて、鼓動を聞いて。
瞳を閉じて、そこにあるモノを感じ。
瞳を閉じて、世界(じぶん)を見据える。
瞳を開けて/片目を開けて
そこにある―――。
当たり前を疑え!/常識を穿て!
心に火を灯せたなら、私はまだ戦える。
傷だらけでも泥だらけでも、どん底ならそれ以下なんてないから―――いつかまた、光のもとに進んでいこう。
私が辛い時、悲しい時。
そっと寄り添って話を聞いてくれたあなた。
楽しい事も嬉しい事も、怒りで我を忘れそうな時も。
隣りに居て一緒に喜んだり、諌めたり。
色んな事を教えてくれた。
バレンタイン、誕生日、クリスマス。
あなたがくれたモノは今でも大切な宝物。
あなたとの思い出も、あなたからの言葉も。
あなたにとって私の贈り物もそうであったら良いなと思うのは、傲慢な気がするけれど。
もしも、そうであったなら幸せだと思うのです。
今、私は隣には居ないけど。
優しくて我慢強いあなたが少しでも長く、幸福の中で笑っていられたらと今も願っています。
あなたがそうしてくれた様に、願い続けるから。
どうか幸せでいて、笑顔の溢れる日々を送っていてください。
その祈りが―――今の私があなたに贈れる、唯一の贈り物。
暗闇の中右往左往、羅針盤見ながら歩いても彷徨って。
行きたい場所を定めても泥濘んだ道に足を取られてる。
何度も転んで傷付いて、泥だらけになっても信じるしかない羅針盤。
それが正しいのか、間違っているのかもわからないまま。
進んで行っても闇は晴れなくて、不安は募るけど。
いつかあなたが言った言葉を頼りに、立ち上がって歩いていく。
『どんな不幸も痛みも全部、力に変えて。
必ず幸せを掴んでみせる』と。
笑顔で言ったあなたの姿が、私の大切な心の羅針盤。
あなたが諦めない限り、私も何度も立ち上がってみせるから。
いつかまた出会えたら、あの日あなたが望んでくれた笑顔で迎えられるように。
今日もまた、迷いながら進んでいくよ。
明日に向かって歩いて行くと言う。
でも、時には立ち止まって休んでもいいんだと私は思う。
過去を振り返っても無意味だと言う人がいる。
でも、たまに振り返るとあの時気付けなかった事に、気付く事がある。
無駄という言葉を使う人がいる。
でも、本当に無駄な事ってあるのかな?
考え方次第で、今見ている世界はがらりと変わる。
今、あなたが見ている世界はどんなもの?
過去の私が見ていた世界を思い出して。
未来は真っ暗で前を向いても見えないけど、過去は変えられなくても振り返ればそこにある。
酸いも甘いも全て私の糧になって、現在に繋がる道になる。
明日に向かって歩いて行く、でも―――私は今を過去に変えて、あなたと一緒にゆっくりと歩いていきたい。
拝啓、ただひとりの君へ
あの日言いたかったこと、言えなかったこと。
伝えたかった気持ちもやりたかったことも。
全てを飲み込んで笑っていた君に、あの日の私に何が出来ただろうか?
今もずっと答えの出ない思考に溺れて、今日もまた君を想う。
掴んでいたかったその手に、寄り添っていたかったその心に。
もう一度触れられたならその答えは出るのだろうか?
もしも願いが叶うのならば、あの日の答えを教えてほしい。
そして君にもう一度触れられたのなら、もう二度とその手を離さないと誓うから。
もう一度笑ってほしいと願ってしまう私を許して。
もしもなんて起こらないとわかっているのに、それを願ってしまう愚かな私を――――どうか嘲笑ってほしい。
敬具