乗り継ぎ停留所〜 夜明け前
夜明け前に着いて
ようやく眠りに就く。
明日へ行くのが嫌だと
眠いけど寝たくないと。
そう言って、暗がりの中
ケータイ画面の明かりが
娘の顔を照らす。
娘にとって夜明け前は
しがみついた昨日の終点。
そこで独り降りていく。
カレンダー
毎年同じカレンダーを購入する。
家族それぞれの予定欄と
家族みんなの予定欄がある。
娘が体調を崩してからは
カレンダーは空白が多い。
予定していたことも体調不良で行けず
二重線をひいて取り消した。
そんな中、テニススクールに
2人で通い出した。
週一回、スクールの予定スタンプが
空白を埋めていく。
どうか来月も来年も続きますように。
時を告げる
夜中にやたらと響く秒針の音は
身動きできず止まっている私を
置いてけぼりにして進んで行く。
心音のような安定の秒針の音は
まだ子宮に守られた赤子の感覚になる。
不安と安心は表裏一体だと
全ては過去になって行くと
冷静沈着に時を告げゆく。
些細なことでも
おはよう、と朝起きてきた。
ご飯をしっかり食べた。
行って来ます、と学校へ行った。
学校じゃなくても外出できた。
ただいま、と元気に帰って来た。
お風呂に入った。
笑顔で話をしてくれた。
明日を楽しみにしてくれた。
些細なことでも
当たり前じゃなくなると
ひとつひとつが喜びになる。
寝ていたはずの娘から
出勤途中に電話があった。
「行ってらっしゃい。頑張ってね。」
身体が軽くなって
それだけで頑張れる。
開けないLINE
目と鼻の先どころか二人とも自宅に居て
部屋は違えども互いの姿が見える。
ケータイをずっとさわっているのに
私のLINEがなかなか既読にならない。
急ぎじゃないからいいけど
いいけど早く見てよ。
喜ぶと思って送ったLINE。
喜ぶ顔が見たくて送ったLINE。
既読スルーどころかいつまでも未読で
送信取消して、なかったことにスルー。
余談_φ(・_・
なんだかなぁ。
自分で気分を頭の上に持ち上げてみては
疲れて床に下ろしてしまった感じ。
床に下ろした気分をまた持ち上げるのは
よりいっそう重く感じる。