嗚呼
感情が整理される前に
思わずこぼれてしまった声。
「嗚呼」
その間に感情を整理して補足する。
補足されず放置された「嗚呼」が
ゆっくり地面に落ちていった。
うまく言葉にならない感情が
ゆっくり地面に染みていった。
記録
娘の不調が悪化して、学校に毎日行けなくなった。これは長期戦になると思い、年間カレンダーに記録をつけることにした。
欠席✕、遅刻△、登校〇、服薬の変更時期や体調など。
その一年をふり返ってみると、よく頑張って行っていたなと思う。そして無理をさせたと改めて思う。
記録をつけていたことで、どんな結果も受け容れることができた。
よく頑張りました!と最後に
はなまる💮をつけた。
さぁ冒険だ
羊と猫の冒険は続いている。
望んで冒険に出たわけではない。
路を進んでいたら
途中から険しくなっただけ。
岐路は何度もあった。
もう一つの路を選べば
なだらかで舗装されていたはず。
だからといって、岐路まで
戻るつもりはない。
この険しい路を進んだ先に
絶景が待っているかもしれない。
美味しい団子屋さんが
あるかもしれない。
猫を羊の背中にときどき乗せて
道なき路を進もうか。
一輪の花
小さな朱色の一輪の花が
庭の端っこで咲いていた。
ドキッとした。
私が小さい頃に埋めた
金魚を思い出した。
小さいころ、金魚が可愛くて
手に乗せて遊んでいた。
ピチピチとしているのが
楽しくて眺めていた。
なのに、だんだん元気がなくなって
水槽に浮いて亡くなっていた。
命の尊さを儚さを、自分の
していることを理解していなかった。
私が少し大きくなったころ
寝ている足の裏を、金魚に
突かれている感覚が何度かあった。
怒ってるよね……ごめんなさい。
一輪の可愛い花が
ただそこに咲いていた。
時間よ止まれ
時間よ止まれ?
いいや。
きっかり動いておくれ。
ちゃんと歳をとらせておくれ。
止まってほしいのは肌年齢だけ。
たるんだ瞼に目尻の尾びれ、
刻みこまれたほうれい線。
そこは合わさないで、
肌年齢よ止まっておくれ。