神様が舞い降りてきて
こう言った。
絵に描いたような白い衣で白髭の神様が
絵に描いたような笑顔で舞い降りてきた。
そして一言、「だいじょうぶ」と。
その言葉が欲しかった。
その安心が欲しかった。
今の自分は身動きできなくても
未来の自分が何とかするから
とりあえず今日は食べて寝て
明日へ先延ばししていろと。
誰かのためになるならば
人のためは、自分のため。
こんな私を許してほしいから
そんなあなたを許します。
こんなとき助けてほしいから
そんなあなたを助けます。
こんな私はやさしいでしょうか。
人からどう思われても気にならないと
自分のために図々しく
人にやさしくできるのです。
鳥かご
じいちゃんはメジロを飼っていた。
木製の長方形の鳥かごは
羽根を一瞬ばたつかせて
飛び移る程度の大きさ。
メジロはずっと右往左往していた。
じいちゃんは定期的に鳥かごの掃除をし
すり鉢で餌を用意し与えていた。
無口で滅多に笑顔を見せないじいちゃん。
表情を変えずメジロを愛でる姿が
未だに脳裏に焼き付いている。
じいちゃんに大事にされたメジロは
この鳥かごの中でも幸せそうに見えた。
今一番欲しいもの
元気が一番ほしい
私の名前
私の名前は◯◯子。
とってもありふれた名前。
どうせなら品のある『百合子』がいい。
私は双子だけど、姉は◯◯子ではない。
お腹の子が双子だと思わなかったようで
姉は早々に名付けられた名前だが
私(妹)の名前は後から付け加えられた。
親の話が本当なら、産婦人科医が
双子だと気付くのが遅かったのか
片方(私)の命が危うく安定するまで
わざと伝えなかったのか。
実のところ私だけ未熟児で
姉は母と一緒に退院し
私は保育器で数週間過ごした後
遅れて退院したらしい。
誕生の秘話?は、少し哀れな気もするが
そんなことを感じることもなく
順調に成長して今に至る。
私は自分の名前に満足している。
私にしっくりくる名前だ。