正直
正直なところ、娘の通う学校に
毎朝の遅刻・欠席連絡が億劫だ。
8:15にケータイのタイマーをし、
とりあえず『遅刻予定』と言お
うか、『欠席』と言い切ろうか
を悩む。完全に登校しないなと
思うときは『欠席』と連絡する。
今日は学校行くかもしれないと
期待すると、『遅刻予定』と伝
えてみる。
毎朝同じ先生が電話に出るわけ
ではないので、『毎日連絡入れ
ておりますが、今日は欠席で』
と前置きを付けてみる。
毎日電話を入れていると、お決
まりのセリフのような言い回し
になり、逆に口元が動きにくい。
なんだかなぁ。
娘からのお褒めの言葉。
『毎日学校に出欠連絡を入れて
くれる親で良かった』と。
面倒臭がってしない親御さんが
いるようで、出欠連絡の有無は
大事なのだと。
いやいや、あなたが行ってくれ
たら、正直こちらもそれが一番
なのですが……と言いそうにな
り口をつぐんだ。
引き続き8:15のタイマーで、欠
かさず連絡をしようと決意する。
梅雨
愛車が自転車の私には、雨は大敵。
より安全運転を心がけ、風邪をひか
ないように、髪の毛が膨張しにくい
よう念入りにヘアクリームをつける。
雨の中、買い物にも寄りたくない。
ごめんよ。
雨続きの梅雨は好きになれないや。
でも、『梅雨』の漢字の雰囲気と
読みの響きは美しいな。
梅雨、時雨、五月雨、氷雨。
雨の表情が美しく、こんな表現の
ある日本人に生まれてきて良かった
とまで思える。
天気の話なんてどうだっていい
今、誰かに話したいこと……
娘が当たり前に毎日学校へ行き、部
活動も続けていたとき、言葉にせず
とも親の私も本人も思っていたこと。
皆しんどくても頑張っていて、団体
競技なんだから、ひとりだけ休んだ
らアカン。
そうやって心身ともに疲弊していき、
うまく癒すこともできなくなって。
楽しくて好きだったことが苦痛に思
えてしまい、それが余計に苦しめた。
徐々に脆くなっていく心に気付いて
いたのに、耐えるものだと言い聞か
せ、なんとか持ち堪えるだろうと。
今は休部して学校も時々行っている。
ただ私が言うまでもなく、娘は自分
を褒めた。
『私、頑張ったよ。体調をくずして
しまったけれど、頑張れたこと後悔
していない。』
私は娘を尊敬している。
家事の手伝いをしないところ、自分
勝手極まりないところは腹がたつが、
人としてスゴいなと思う考え方をし
ている。
体調をくずしたことで、自分を知る
ことができた。今後はそんな自分と
うまく付き合っていくようだ。
うちの娘は、たぶん中身は猫だ。
ヒトの姿で人間界に生まれた猫。
小さいころは、テーブルの下や
廊下によく寝そべっていた。
まったり過ごすことを好んで、
気まぐれに甘えん坊。そして猫舌。
猫が人間界で生活していくのは
なかなか大変だと察する。
よく頑張ってきたぞ。
大丈夫。
もう少し猫らしく過ごそうか。
ママの横で丸まっておやすみ。
夜中にうっすらと目が覚めた。娘が
やっとお風呂に入っている音がする。
何時だったかはあえて確認しなかった。
結局朝は起きれず、学校は休んだ。
夕方の5時前に仕事から帰ってくる
と、朝昼兼用で用意していたお弁当を
今頃食べていた。4時ごろまで寝て
いたらしい。たぶん半日は寝ている
だろう。
そんな生活リズムで、朝と夕の一日
二食、ほとんど寝ていて起きている
ときはケータイ依存。
部活動で付いた筋肉もあっさり落ちて、
贅肉にもならずに痩せていった。
ついこの間までは、当たり前に学校
行って部活漬けの毎日を送り、家で
は宿題もやっていた。
心が壊れるって、こういうことかと
わかるぐらい、 娘がみるみる崩れて
いった。
朝練に笑顔で駆け出していった娘。
放課後の部活動から帰ってきた娘。
そんな当たり前だった日常の姿は、
もう思い出になり薄れていく。