霧烏

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8/5/2024, 2:12:41 PM

鐘が鳴ると、つい
「なんの鐘だろう」
「どんな意味だろう」
「きっと何かの合図だ」
と思ってしまうけど、

人間が意味もなく叫びたくなる時があるように、
鐘だって無意味に鳴ってみたい時があるかもしれないよね

だから、無意味な鐘の音があってもいいと思うんだ


【お題:鐘の音】

8/4/2024, 2:05:43 PM

世界は変わり続けてる

逆に言えば、君も僕も常に世界を変え続けてるってことさ

君がお店で物を買えば、そのお店の商品が少し減ってお金が回る

君が呼吸をすれば、吐き出された二酸化炭素を植物が取り込んで、酸素にする

生きているってことは、少なからず世界を変えているってことなんだよ

それが君にとってどんなにつまらないことでもね

そう思うとほら、僕達が存在する意味も少しはあるのかもって思えてこないかい?


【お題:つまらないことでも】

8/2/2024, 1:30:05 PM

今日は健康体な俺の数少ない病室エピソードを綴ろうと思います。

健康体、とは言いましたが子供の頃の俺はちょっと体が弱く、体調を崩して小児科で点滴を受けることが何度かありました。

針を刺されて看護師が去った後、しばらく暇だなぁと思いつつ周りを見渡すと、ちょうどベッドから見える位置にテレビが置いてあるんですね。子供が退屈しないようにとの配慮でしょう。子供向けのビデオが流されていました。

ところで、俺は比較的記憶力が良い方だと自負していますが、年月が経つにつれてどうしても記憶が曖昧になってきます。大半のことは忘れているのに、「なんでこれだけ覚えてる?」みたいなこともザラにあるんです。

俺が唯一、小児科の点滴中の記憶で鮮明に覚えているのが、「真っ赤なおっはっなっの〜wwwトナカイさ〜ん〜は〜www」という歌に合わせて、赤鼻のトナカイが二足歩行で小躍りしている映像です。
あなたが思う一番愉快な動きを想像してください。それをトナカイが踊ってます。二本足で。

前述した通り、俺は何度か点滴を受けた経験があります。それなのに「子供の頃の点滴の記憶」で覚えているのがその一瞬の映像のみです。その小児科は大体いつも点滴の部屋でテレビを付けていてくれたのに、その映像しか覚えてない…しかも「トナカイさ〜ん〜は〜www」までしか覚えてない…本当に一瞬の映像……なんで……???


【お題:病室】

8/1/2024, 2:15:05 PM

「明日、もし晴れたら…」

「おい」

「なにさ?」

「明日晴れたら、なんて本気で言ってんのか?」

「なにかおかしい?」

「おかしいな。お前、この空を見ろ。ここじゃあ晴れも雨もないんだ、永遠にな。それどころか、昼も夜も曖昧なんだぜ」

「はは。僕から言わせてもらえば、おかしいのは君だね」

「なんだと?」

「君は、どうやって晴れや雨や昼や夜を判断しているんだい?」

「そりゃあ…空に雲がなかったら晴れで、水が降ってきたら雨だろ。そんで、明るかったら昼で、暗かったら夜で…」

「そんな視覚情報で決めつけるなんてナンセンスさ。天気や昼夜なんてのはね、自分で決めるものなんだよ」

「はぁ?それじゃあ、お前は自分で勝手に晴れや雨や、昼や夜を決めてるってのか?」

「そうだよ?僕が晴れがいいなって思ったら、その日は晴れさ。雨がいいなって思ったら、何も降ってなくても雨。眠りたいなと思ったら夜で、出かけたいなと思ったら昼さ。もちろん、起きていたい夜や眠りたい昼もあるから、一概にそうとは言えないけどね」

「はあ…じゃあ、お前にとって今の天気は?」

「今日はピラニアが降るよ」

「ふーん…あ!?ピラニア!?」

「そう。だから外には出たくなくてね。こうして君をうちに呼んでいるのもそれが理由さ」

「待て待て、それならお前は俺という大事な友人をピラニアの雨に晒そうとしたってのか?」

「君は頭が固いね。僕にとっての天気と、君にとっての天気は違うじゃないか」

「…そうなのか?」

「そうだよ。だって君は、今日ピラニアの雨が降っていなかったから、ここまで来てくれたんだろう?」

「…確かに。俺にとっては何も降っちゃいなかった」

「でしょ?きっと君の天気は晴れだったんだよ」

「…いや。曇りだ。俺は、今日は曇りがいい」

「そっか。じゃあ明日、もし晴れたら森へ鳥を見に行こうよ。ピラニアが止んでいたらね」

「あぁ。ピラニアが止んで、俺の天気も晴れだったらな」


【お題:明日、もし晴れたら】

7/31/2024, 1:49:42 PM

誰かが私の名前を呼んでるわ。
でも生憎、私今忙しいの。
ある場所へ行かなくてはいけないからね。

名前を呼んでるあれは何者かって?
あぁ、私の下僕よ。
あんなに大声を出して、まったくみっともないわ。
まぁでも、これからはあの下品な声も聞かずに済みそうね。

さぁ、ついたわ。
ここ?そうね…私のとっておきの場所とでも言っておこうかしら。
誰にも見つからなくて、静かで安全なの。
昔この辺りで暮らしていたときは、よくここで眠っていたものだわ。

あぁでも、ここにいる私を見つけたのが一人だけいたわね。
そう、あの下僕よ。
まだ幼かったあれが、私を可哀想な子だと勘違いしてここから連れ出したの。

失礼しちゃうわよね。私はここで休んでいただけだし、ひとりで生きていけないほど弱くもないもの。

でも、もういいの。あれに連れられて暮らした家は、ここよりもずっと広かったうえに食べ物にも困らなかったしね。
それに、ソファを爪でズタズタにしたり、テーブルの上の物を“うっかり”落とした時の情けない声もとても愉快だったわ。

まぁ、情けない声は今も出してるわね。あんなに泣きそうな声を出して、恥ずかしくないのかしら。

さて、そろそろいかなきゃね。
眠くなってきたわ。

…なんでここに戻ってきたのかって?
だって、弱っていく主の姿なんて、下僕に見せられないでしょう?
私は、最期まで気高い女でありたいのよ。

だから、今は一人でいたいの。

じゃあね。
来世も会えたら、また下僕として使ってあげるわ。


【お題:だから、一人でいたい】

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