「香水」
鼻がむず痒くなる人口的な香りで
あなた本来の香りを誤魔化さないで
あなたの香りが追えなくなるから
香水は嫌いなの
急に香水をつけはじめたのは
いったい誰のせいなのかしら
やめて 香水をつけないで
あの子好みの香水をつける
あなたは嫌い
あなたが見知らぬ人になる
私が好きだった
あなた本来の香りが薄らいでいく
「言葉はいらない、ただ」
あったかい何かが
私と君の間にある
見えないけども確かに在る
言葉はいらない、ただ
君を感じればいいだけ
「突然の君の訪問」
一瞬、ドキリとしてしまう
そして我が目を疑い二度見してしまう
途端に緩む口元
手で抑えて咄嗟に隠して平静を装う
別に見えるわけでもないのに
画面の向こう側の君には
こんなところでもアマノジャクは顔を覗かせる
素直じゃないな、素直じゃない
君の訪問は一瞬だけ
私のポーカーフェイスを崩してしまう
そんな魔力がある
いや
魔力とか魔法とかじゃなくて
ただ単に
君の訪問が嬉しい、それだけなんだけど
それだけの事でこんなにも胸が踊るのは
きっと……
だけどそれは内緒の話
「雨に佇む」
雨に降られたまま
ただ ただ
その場に佇んでいる人を見ても
決して傘を差し出そうとは
思わないで下さい
それは私かもしれません
ただ ただ
降る雨を見上げて泣いているかもしれません
雨で涙を誤魔化すなんてダサいかもしれません
それでも
雨と一緒に泣きたいのです
洗い流したいのです
傘を差し出さないで下さい
甘やかさないで下さい
そんな事言うと
人の親切心を無駄にしてしまう非情な女に聞こえるでしょう
それでも構いません
私が待つのはただ一つの傘
だけど
差し出される事はないかもしれません
雨が止むのが早いのか
それとも待ち人の傘が早いのか
私は分からずに
ただ ただ
雨に佇む
「私の日記帳」
私はあまり日記帳をつけたことがない
正確にいえばつけても途中で辞めてしまう
何故だろうか、理由は分からない
けれど一つ、理由を思いつくとすればあれだろうか
白紙のノートに今日あった事を殴り書きするのは割と良かったように思う
あとで読み返すとこんな事もあったな、とか懐かしいな、とか振り返ってみるのも良かった
ただそこには本当の喜怒哀楽の気持ちが記されてなかった
懐かしさ、だけで終わってしまう日記
上辺だけの楽しい事
上辺だけの哀しい事
怒りは私も悪かった、なんて反省してマイルドに終わらせている
喜びはカラフルなペンで書き余白にシールを貼り上手に着飾っている
そう、日記帳はなんとなく書いていますって感じのお飾りで、その時の感情を思い起こす為のアイテムにすぎなくなっている
本当の私の日記帳は記憶、あるいは心にあるのではないか……
言い訳になるかもしれないが毎回そう想い途中で辞めてしまうのだ
「私の日記帳は心の中に」
なんて名言か?カッコつけか?
そんな事はどうでもいいけど、ただ一つ分かっているのは誰も私の日記帳を見ることができない、これが唯一の利点