旅舟

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4/29/2024, 11:52:19 PM

詩『花の種』
(裏テーマ・風に乗って)


 私は何かの種のようです。
 ふわふわとした白い羽根があり、風が吹くと空高く舞い上がります。どこかに落ちていつか花を咲かせると聞いてます。

 自分の行きたい場所には行けません。
 海や山や都会も知らないままかもしれません。

 風に乗って、遠い知らない世界へ。
 意思ではなく運命が私の人生。

 私は地味で辛い暮らしですが、つぼみから花を咲かせると人生が変わると聞いてます。
 ただ、幸せは儚いようです。すぐに終わるようです。

 それでも、人間という動物よりは幸せかもしれません。
 だって私たち花の種は、ほとんどの種が綺麗な花を咲かせることができるのです。
 花のない一生なんて絶対に嫌です。

 ほとんどが花もつぼみもなく、愛とか夢とか訳の分からない見えない物に執着して死んでゆくのが人間らしいのです。

 私は最後に花として散り、また種を飛ばす。
 何色でどんな花なのかも知って、自分の美しさに酔いしれて枯れてゆけるのです。
 ああ、幸せです。
 人間じゃなくて本当に良かった。

 今は風に乗って青空を飛んでいます。
 海の見えるあの丘がいいなぁ。

 ああああああああ、
「海はだめーーーーーーーー!」

 海面に浮かんだ種を魚たちがつついて遊んでいます。
 そしてゆっくり沈んでく。

 どんな人生にもいろいろあるようです。

4/28/2024, 3:10:58 PM

詩『ペット』
(裏テーマ・刹那)


刹那って
この世で一番短い時間の表現だけど
そのせいか、なんだか悲しいね
そう思わない?

君はこんど新しく
飼う仔猫に
「刹那」って名前をつけた

私の3倍か4倍のスピードで生きる
だから、刹那の時間も
大切にしてあげたいから…と言った


その刹那は今年で17才
けっこう長生きしてる

君の産んだ赤ちゃんとも仲良しだ

俺の名前は「悠久」
とっくにオバケになってる
刹那の先輩だ

俺が病気で急死して
泣き続ける君のために
お母さんが買ったのが刹那だった

俺がここに
ペットのオバケでいるのは
君の未練のおかげ

刹那の守護霊にもなっていた
でも、もう少しで終わる
そしたら君ともお別れです

君は新しい家族ができた
ペットへの愛もぜんぶ
赤ちゃんにあげて

こんどは刹那が残るはず
赤ちゃんの守護霊にもなると思う
きっと長生きするよ
優秀な俺の愛弟子だから
へへっ(ぺろ)

4/27/2024, 12:26:29 PM

詩『死刑囚』
(裏テーマ・生きる意味)


刑務所では名前を言わない
みんな番号で呼ばれる
通常は一桁から四桁までの番号
594(獄死)は使わない

私は殺人の死刑囚だ
死刑執行は当日の朝に告げられる
だから昼がとても愛しくなった

前日だと昔は深夜に自殺したらしい
どうせ死ぬのに急ぐらしい
殺されるのは怖いらしい

死刑囚にも逃げ道はある
再審請求をすることだ
それからこれは秘策なのだが
記憶喪失になれば執行はできない

死だけを待つ日々
生きる意味も感じない

弁護士さんは笑って
被害者に謝り反省をしなさいと言った
しないことを知ってるくせに

時間だけはたっぷりあるので
読書が趣味になった
壁に囲まれた世界では
空想だけが生きてる実感の翼になる

そして運動時間もあり
貧相な食事もあり痩せて健康にはなった

「1414番、早く牢から出ろ!」

今日は朝から珍しい呼び出しがあった
読みかけの小説の先が気になる

「1414番、今日、刑を執行する!」

今からショックのあまり
記憶喪失になってやろうか?

あまりに冷静な自分に驚く
おまえの身代わりに死ねるなんて
最高の幸せだ

私は死ぬことで
おまえの中で生き続けるだろう
それが私の生きる意味
体を失くしても願う意味

幸せになってくれ
妹よ

血の繋がっていない
妹よ

4/26/2024, 1:38:38 PM

詩『オセロ(同情)ゲーム』
(裏テーマ・善悪)


新番組、オセロな人生の始まりです。
善人に見える白と、悪人面?の黒。
二人の少年がいました。

いきなり白の両親が黒の父に殺されました。
スタートは白がリード、同情が集まります。

黒の父も黒を誘拐され脅されていた。
少しだけ黒も巻き返します。

白はお金持ちの養子に、黒は母が死に施設に。
黒は殺人犯の父のことがバレるとどこに行ってもいじめにあい辛い子供時代が続きます。
少しずつ黒が同情を集め逆転してゆきます。

それから更に数年後、ついに黒の父が刑務所を出所する日が来るが、すぐに殺されます。
そしてなんと、殺人現場には白がいました。
黒が完全に優勢です。

実は白は白?、無実でした。
黒の父はいろんな犯罪をしていてほかの事件で恨まれていました。
黒は復讐しますが殺せず逮捕されます。
今度は白が逆転です。

ここで、重大なことが発覚です。
なんと黒の父の出所日や住居の場所を犯人に教えたのは白でした。これは黒に流れがゆきます。
黒の逆転です。

黒が仮釈放されるとすぐに白を殺しにゆきます。
あれ、白がわずかに再逆転かな。

しかし、白の側には警察官が待っていました。
すべて白の計画通り。
白がニヤリと笑います。
またまた黒が巻き返します。

実は白は闇の犯罪コーディネーターになっていました。
実は黒のバックには父の実家のヤクザ組織が動いていました。

これからいよいよヒロインの登場です。
物語が本格的に動き始めます。
事件は派手なドンデン返しの連続になります。
そう、二人は兄弟だったと言うことも分かってきます。

このオセロ(同情)ゲーム、どちらが勝つと思いますか?

善悪は、視聴者様が決めて下さい。
しかし、善悪よりも大切なものに気づいてもらえると制作者冥利に尽きます。

4/25/2024, 3:14:56 PM

詩『神代の言い伝え』
(裏テーマ・流れ星に願いを)


遥かな大昔、古代の若き島々の国を治めた予言者がいた。
偉大なる予言者はこう言った。

桜と名付けられた花が散った最初の新月の南の空に、赤く輝く大きな光の流れ星が現れる。その直後に首に赤黒いまるで星のようなアザを刻印されて、その娘はこの世界に生まれてくる。
その者は戦争で明け暮れる人類を救い、世界を平和へと導くでしょう。

私の村に伝わる神代の頃からの言い伝え。
あまりに古すぎて、実はだれも信じてなかった言い伝え。

「じいちゃん、それでなんなの?」

私はその予言通りに生まれた、らしい。首にアザもある。
だから村では大騒ぎだったらしい。
しかし、私の股間には不要な物がある。そう、男の子だったのである。村人は落胆した。
村人の中には、不要な物は切ればいいとまで言い出す始末。

結局、期待されなかったガッカリ赤ちゃんの私はお陰ですくすくと気楽に暮らしてきた。

「で、じいちゃん、成人のお祝いって私はまだ12だよ。」

古代は干支がひと回りしたら成人と言われていたらしい。
そして、言い伝えには、続きがあったらしい。

人類の救世主の赤ちゃんは、その絶大な能力のせいで命を狙われるであろう。だから神はあえて男の子の姿で生ますだろう。
しかし、心は女だから、そばにいる者はすぐに気づくだろう。
必ず秘密にして守ってあげなさい。

「えっ? 確かに私は心は女だけど。えっ? だったら私は人類の救世主なわけ?」

やめてくれー。

私は体が男で心は女で人とは違うと悩んだ昔もあったけど、悩みの方向が迷子になる。

とりあえず…、あっ、流れ星!

「普通の女の子にしてください」
私は、流れ星に願いを、そう、願いを必死に祈った。

「じいちゃん、私は流れ星に願いを言うことくらいしか出来ないんだよ、期待しちゃー駄目だよ」

じいちゃんは泣いてた。さすがに呆れて、泣いてた???

私を優しく抱きしめて耳元で「ドンマイ」とそう言った。
やっぱり呆れてたんかーい!って、まぁいいや。


話の続きは私が引き受けましょう。
私は百年後の未来から来た彼女の後継者です。
すべてを見届けた者です。

確かに、この少女?は、95歳になった頃に世界を本当に平和へと導くのです。

ずっと愚か?で惨め?な人生でしたが、彼女は言葉だけで人類の歴史を変えたのです。

すべての宗教も導くのは神ではなく、言葉なのです。

83年後が楽しみかもしれませんが、ほとんどの人が死んでいることでしょう。

ん? 私の背中に隠れてカップラーメンを食べないで下さい。我が救世主様。

睨まない。

おじいさんも、私も、本当に苦労しました。破天荒なので。

逃げなーーーい!!!
止まりなさーーーい!!!

やれやれ、救世主様。
(笑)

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