長く一緒にいると、彼女はよく笑うなと思ったのだ。少し彼女を観察していて表情を見ていた。見知らぬ人にも目線を合わせてほどほどの距離で話す。冷たくは映らない。
人の話を良く聞き自分の考えはあまり言わない。
人当たりがいいねと言ったら。
多く興味を持つことがゆとりを生むそうだ。自分には出来そうにない。
彼女といると許されている気がする。好きだと思ったし、何も話せない自分も悪くない気がしてくるよ。
白い素肌にキツく口付けると、滲むように朱色が付いた。花が散ると表現されるけど、そこまで綺麗な表情ではなくて不格好で。かえって自分が蹂躙したようで背徳感もあった。
美しいものを壊してはならないとずっと説かけられてきたけど、自分のものにならないならこれほど爽快なことはない。
心は手には入らぬもの。隠して独り占めにもできない。
片方ばかり気持ちがいいのは不自然だと思う。
受け取るばっかり。与えられるばっかり。
気遣うばっかり。やってもらうばっかり。
性別で区分けするのはナンセンスだと思うけど、
それでも生物の構造上どちらがリスクを背負うかは決まってくるよね。
なぜ受け身なのだろう。
なぜ捧げないと捨てられるのだろう。
そんな格好をしているから。
勘違いするなよ。
お前だって気持ちよかったよな??
良かったことなど一度もない。
演技だよ。99%は演技。
子供を宿して、無理やり掻き出せば二度と妊娠できない身体になる可能性すらあるのに。
声が優しくて、抉るように低い声なのに何も怖くない。
ああずっと聞いていた声だ。聞き間違うはずなんて無い。
長いトンネルだったけどいつだって連れ出してくれるのはあなたでした。
叫び過ぎて枯れた声だった。
男に乗り上げられてどんなに苦しかったか。
それでも、両手を広げて受け止めてくれる。
おまえさんの涙を拭う度にひどいやつだと自問する。長い距離だったが支えてくれた君がいた。
滑らかな肌だった。唇で感じで冬の冷たい香りが頭に広がる。どんな甘菓子よりもあまくて、どんなワインよりも芳しい。
少しずつキスをして胸の内に広がる幸福は感じたことがない。君が祝福にあやかりますよう。享受すべき優しさが余すことなくその身にありますように。