「哀愁をそそる」
哀愁を「そそる」という言葉が最近はあるのですか??
「誘う」でもなく?
※ ※ ※
彼女が嬉しそうに手作りクッキーを持ってきた。兎とか猫とか熊とかハートとか、めちゃくちゃ可愛く型抜きされている。
いつもは丸い形ばかりなのにどうしたんだ!?
くれるのだとばかり思っていたのだが
「これからお友達と交換するんです」と
にこにこ楽しそうに去っていった。
見せた…だけかい…。
オレの親を見たことがある友人は、しきりに似てる似てると言う。
ぼんやりした時の顔がそっくりだと。
信じられない。
「似てるか分からねぇ」
「そうか?」
友人はニヤニヤしなら続けて言った。
「それよりメシどーする」
んー…。がっつり食べたい気がするな。こう、秋らしいやつ。
「やっべ。似すぎ」
悪友は腹を抱えて笑い出した。
泣いていい。怒ってもいい。きっと君が一番傷ついているんだから
甘やかしてあげてね。
乾燥したカサカサした手が、そっと瞼を閉じてくる。
闇が自分を見ている。自分も闇を見ているのだから何も怖くない。
壊れ物のように触れてくれる指が
「いや」といえば必ず止まってくれる優しさがもどかしい時もある。
私だってあなたにしてあげたい。
あなたのことを
「教えて」
と言ったら幻滅されますか。
おかしくなりそうなほど愛したい。
「知って」
と言ったら幻滅されてしまいますか。
誰よりも深い所で繋がりたい。
もっとあなたに私自身を刻み込みたいんです。
明日をわすれるほど夢中になって欲しいんです。
黒髪をたぐり、現れた素肌にキスをする。
くすぐったいようで小鳥のような声が上がった。
彼女が珍しくわがままを言い、暖炉の前で抱き合っている。夜明けまでいろいろな話をした。
特に何もしない。
兄弟の話、親の話、友人の話。
他愛のない話の中で彼女がふいに「ほんとに?」と言えば「本当だ」と。昼間より低い声が出て地に落ちていく。滑らかな肌の曲線を確かめて存在を確認する。
可愛い。
「もう一眠りしろよ」
仕事までまだ時間はある。
うん、と鼻に掛かった声。
本当に可愛いな。
信頼してくれたのか、ゆるりと穏やかな寝息に変化していく。少し寂しい。起してしまいたいけど我慢だ。