#4 楽園
生きている限り、
留まることはできない。
それなら、楽園とは何を指すのだろう。
-楽しいことは、どうして終わってしまうの?
-悲しいことやつらいことが、必ず終わるためだよ
思い浮かんだのは、この台詞。
私は、私がいちばん落ち着く場所を知っている。
その場所が、どれだけ
かけがえのないものか
そして同時に、いつか必ず
無くなるものであると知っている。
そこに辿り着くまでの日々が
重くて、つらくて、
だから余計に今が愛おしくて。
ずっと、ずっと今が続けばいいのに。
その時がこわくて、こわくて。
ぎゅっとしがみついている。
私たちは、時間の流れや、
変化することから逃れられない。
それは救いでもあり、また絶望でもある。
その時まで終わりを知らなかったアダムとイブは
一体どんな気持ちで過ごしていたのだろう。
#3 風に乗って
桜は青々としは葉を繁らせ、
じんわりと汗を感じる季節になった。
火照った身体を冷ますように
風が少し強く撫ぜていく。
何とも言えない爽やかな心地は、
あの人と過ごした時を思い出させた。
からりとした空気とは裏腹に、
心は湿っぽい感傷に囚われる。
私の想いも風に乗って、
あの人のところへ届けばいいのに。
しばし歩みを止め、目を閉じる。
もう遠い過去、だから。
目を開けて再び歩き出したときには、
火照りも、ほんの束の間感じた未練も
ひと雫こぼれた涙と一緒に
風に乗って遠くに飛んでいった。
#2 刹那
それはとても、とても短い時間のこと
仏教用語であり、
『切ない』と響きが似ているが、
多分、無関係である。
だけれど、
刹那の…といえば、胸が締め付けられるようなシチュエーションを思い浮かべてしまう。
しかし、本来そのような感傷的要素は込められていない。
過去も未来もない、
ただこの一瞬、
それが刹那なのである。
#1 生きる意味
どういうことだろう
人間ひとり分なんて、とてもちっぽけで
子孫を残すことができても
社会にどれだけ貢献できても
その功績はすぐに押し流されてしまう
世の中は人間が溢れていて
自分がいなくても
認識もされないまま世界は回る
冷めた目で見れば、そんなもんだ
でも、きっと違う
そういうことではないんだ
自分が頑張れないときには
代わりに頑張れる人がいるだろう
その分、周りに優しくできたらいい
生まれてくるのは大人の都合だけど
これから先どう生きるか
決めるのは自分だから
本位的な考え方だけど
自分が後悔しないように
自分を褒めてあげられるように
そこから始まるんだ