雨が降ってきた。
傘が一本しかないから、いっしょに入ろう。
きゅうくつだけど、許してね。
遠慮しなくていいんだよ。
君の片方の肩だけでも、冷たい思いがしないように。
僕の片方の肩が濡れて冷たくなってしまうって?
そうかもしれないね。でも、そうじゃないかもしれないよ。
それは、君といっしょだから。
君といっしょなら、楽しいことは2倍に、悲しいことは半分になるんだよ。
だから、僕は、楽しい傘に入るときも、悲しい傘に入るときも、君といっしょがいいんだ。
このことは、君には秘密にしておくけれど。
____________________________傘の中の秘密_______。
雨上がりの世界は、もやもやした気持ちが溜まってできたわだかまりを、洗い流してくれたみたいに、清々しい。
水たまりを避けながら、いつもより慎重に、足で地面を踏みしめながら歩く。
ふと、家の庭先が目に入る。
見覚えのある黄色い花を咲かせている。あれは確かトマトだ。
雨粒を身にまといながら、太陽へ向かって背伸びをしているみたいだ。
たくさんの雨の恵みをもらった後のお日様はきっと、背伸びしたくなるくらい最高なんだろう。
みているだけでわたしまでうれしくなる。
雨のち晴れ。
この世界は、きっとなんでも、そういうふうにできている。
_______________________________雨上がり________。
勝負したら、引き分けにならない限り勝ち負けはある。
負けたら悔しい。
ただ、負けという結果にこだわって、勝負をしないことを選ぶと楽しくない。
わたしは勝負をしたくなくて、スポーツをすることを避けてきた。体育の授業で試合をするときも、いやいや参加していた。
どうせ負けるし、どうせわたしは何もできないしっていつも思っていた。
最近、スポーツ大会に出た。
人数合わせのために出て欲しいと言われ、渋々参加することになったから、やる気もなかった。
だけど、やる気に満ちた人たちと練習していると、その人たちの表情が生き生きしていて楽しそうで、わたしまでだんだん楽しくなってきた。
本番は本気で勝ちにいった。
結果は負けだった。
悔しかったけど、なによりも楽しかった。
どんなことでも、一生懸命にやるとすごく楽しい。
勝ったときは、思いっきり喜んでいい。
負けたときは、思いっきり悔しがっていい。
ただ、結果にこだわって勝負をしないことを選ぶと楽しくない。
勝負に挑むこと自体が、素晴らしい経験だから。
___________________________勝ち負けなんて______。
笑える日はもう来ないと思っていた。
最近、ふと鏡に映る自分が視界に入ったときに、驚いた。
無邪気に笑っていたから。
あの頃から今日までの時間のなかで、いろんなことがあった。
たくさんの人との関わりが、わたしを成長させてくれた。
成長していくにつれて、だんだん自分を信じられるようになった。
わたしにもできることがあるのかもしれないと。
まだ問題はたくさんあるけれど、一つひとつ向き合っていこうと思う。
今は、ちょっとやそっとの向かい風では倒れない。
不安になったときに、そう思うことにしよう。
________________________________________まだ続く物語___________________________________________。
ようこそ!
遠くから自分の住む街へとやってきた鳥たちを迎える。
どうぞ、羽を休めていってください。
そして、よかったら旅のはなしを聞かせてほしいです。
厳しい状況に追い込まれることもあれば、素晴らしい景色にこころを動かされることもあったと思います。
長旅では必然と疲れがでてくることでしょう。
どうか自分を追い込みすぎずに。
ときには、羽を休ませてのんびりと陸に滞在することも大切だと思うのです。
もう羽は休まりましたか。次はそんな遠くまで旅をされるのですね。
きっと次の街でもよい休憩場がみつかりますよ。
また今度、どこかの街でお会いできたら嬉しいです。
____________________________渡り鳥_____________。