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7/3/2023, 2:16:53 PM

『この道の先に』



家出をした。
両親から入学祝いに買って貰ったスーツケースに最低限の荷物をつめて、履きなれたローファーを履いて深夜2時、家を出た。

私の両親はとても優秀で父は教授、母は銀行員だ。だからなのか、成績にとても厳しい。

学年3位以内に入らないと長時間説教をされる。

学年3位以内に入らないと約立たずだと罵られる。

学年3位以内に入らないともっと努力しろと怒鳴られる。


でも。


学年3位以内に入ると当たり前だと言われる。

学年3位以内に入るとやっと役に立ったなと言われる。

学年3位以内に入るとお前の価値はこれだけだと言われる。



そんな暮らしはとてもつらかった。



家を出よう。

ある日ふとそう思った。いや、何回も思ったことがあるけれど、ここまで強く思ったのは初めてだった。
多分、限界が来ていたのだと思う。

だから私はみんなが寝静まった深夜2時、家を出た。


外は真っ暗で道の先もよく見えない。
歩き慣れた道だけど、何かが吹っ切れたからなのか、何処か違う気がした。

この道の先に何が待っているかはわからない。
だけど、縛られる人生はもう飽きた。

私の人生は、私の道は、誰かに縛られていいものじゃない。

強くそう思った。

「よし、行こっ」

私はそう呟いて歩き出した。

4/21/2023, 8:17:44 AM

『何もいらない』



⚠閲覧注意⚠
( 鬱、病み etc )



「あの方、心を病んでしまったそうよ」

「お仕事にも行けずに引きこもっているそうね……」

「あの2人、とても仲の良い夫婦でしたものね」

「えぇ。 可哀想に……」


みんなは僕を可哀想だと言う。
ご近所さんや友人、家族。様々な人が、そう口にする。
僕にはその意味が理解出来ない。


だって、僕には優しくて可愛い妻がいるから。


妻がいるから、毎日毎日笑顔でいられる。

妻がいるから、毎日が幸せで溢れている。

妻がいるから、どんなに苦しくても頑張れる。


こんなに幸せなのだから、可哀想なわけがない。
妻がいれば他に何もいらない。美しい光を放つダイアモンドも、高級な布を使った洋服も、何もいらない。
僕は妻がいるならそれでいい。
妻だけが僕の生き甲斐だから。



#生き地獄か天国か_④

  ──── END ────

4/18/2023, 10:18:21 AM

『無色の世界』



君がいなくなってから何週間が、何ヶ月が経っただろうか。
君がいた世界はとても華やかで輝いていたのに。
今は真っ暗で、何も見えないんだ。
笑い方や、楽しいという感情、喜びを忘れてしまったんだ。


朝起きて、何も食べずに仕事に行く。

夜遅くまで働いて家に帰る。

酒を飲んで、つまみを食べて、死んだように眠る。

そんな毎日なんだ。


君がいた時は、笑顔が絶えることなんてなかったのに。

君がいた時は、毎日が幸せだったのに。

君がいた時は、どんなに苦しくても挫けることはなかったのに。


君は、いつ、帰ってきてくれますか。



#生き地獄か天国か_③

4/16/2023, 10:29:35 AM

『ここではない、どこかで』



ずっと一緒にいると約束したのに。

君は僕を置いて、どこに行ってしまったのだろう。

君に会うには、どうしたら良いのだろう。


もっともっと真面目に働けば良いのだろうか。

困っている人を助ければ良いのだろうか。

神に祈れば良いのだろうか。

時が経つのを待てば良いのだろうか。

”天国”とかいう名の、ここではないどこかに、行けば良いのだろうか。


何度考えても分からない。
分かるのは、涙があふれてとまらないということだけだった。


#生き地獄か天国か_②

4/16/2023, 4:06:19 AM

『届かぬ想い』



「ずっと一緒にいよう」

そう言ってくれた時は嬉しかったなぁ。
世界で一番嬉しかった。
私にはこの人が必要なんだ、って改めて感じたの。
この人と幸せになりたい、って。

それから毎日が幸せで、笑顔が耐えることは無かったの。

朝起きて隣にあなたがいて。

朝ご飯を一緒に食べて。

つらいお仕事も頑張ろう、って思えて。

お仕事から帰ってきたらあなたが迎えてくれて。

夜ご飯を一緒に食べて。

一緒に眠りにつく。

とっても幸せだったの。
だから、こんな事になるとは思ってもいなかったの。

ごめんね。
本当にごめんね。




あなたを置いていって、ごめんなさい。


#生き地獄か天国か_①

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