蒼夏

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10/3/2024, 1:14:57 PM

ー巡り会えたらー

ある占い師は私に

「今年は運命の人に出会えるでしょう」

と言った。


私は何でも信じやすい性格で

運命の人と聞いてとても喜んだ。

そこからは

毎日この人かな‥いや、この人かも…

など考えながら過ごしていた。





だけど、運命の相手と巡り会った!!


なんてことはなかった。





その時の私は分かってなかった。

運命だけに任せていては

運命の出会いなどないことを。

運命の人じゃなくて

運命を変えてしまう人に

出会ってしまったと。










10/1/2024, 1:53:17 PM

ーたそがれー


満潮になった

海を眺めるけれど、

僕の影は映らない。

波が迫ってきては

遠のいていくけれど

僕のことは

濡らさない。


オレンジ色の波は

あの日の黒い波を

隠すように

暖かい面を見せるけれど

中は深く、冷たくて、とても。

僕と一緒だね、なんて

呟きながら、

黄昏時にここにいた頃の

自分に赤い涙を流すんだ







9/29/2024, 12:28:35 PM

ー静寂に包まれた部屋ー



「あはははっ、おいマジかよ」

「おーーいここここ!」

「よっしゃあ、」

「強すぎるだろ」

「あーーっ」

「ヤバいヤバい」






何をしているのだろう。



窓を開けたらそこにある。

同級生が

何のためでもなく

ただ騒いでいる。







私はただ四方壁に囲まれた

人につくられた部屋に籠って

人に書かれた本を読んで

ショウライのためにと

人に教えられたことを学ぶ。



何も誰も

自ら動こうとしない

静寂の部屋で

私を動かしてくれる

誰かを待っていては

部屋の壁より

私の心の壁が高くなって

自分が出ることも

誰かが入ることも

出来なくなるのだろう。









































9/28/2024, 1:59:17 PM

 「ここ前に来た時はライトアップされてたよな」


ー前に、来た、?ー

私が首をかしげる。

すると、君はわざとらしく

「あぁ、似たとこだったかな」と言った。


違う。私と夜に外に出かけたことなんかない。


「行ったことないと思うけど?」


「デジャヴかな」そう言って口角をあげる君。


目が笑っていない。


あぁ、この顔…

見たことある。デジャヴなんかじゃない。


「そっか、嘘つき。」


今更「好きだ」なんて

デジャヴはやめてね、

全部元から無かったんでしょう






9/26/2024, 2:31:03 PM

ー秋ー

秋の桜の

寂しさの風に

かんたんに左右されない

細い茎と花びらに

君と私の儚さを咲かせて

お花見をしようか


寂しさの空に

春の桜の花びらのように

舞い、散り、嘆き、

大きく見せることなど

枯れ葉と同じに捨ててしまえ












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