ー心の灯火ー
僕は高校生の時、人間関係のもつれや勉強の不安から精神疾患になってしまった。
毎日朝起きると、心が持っていかれるような重さに襲われる。
学校の最寄り駅。地獄の入口。
電車から降りた時、たくさんの同じ学校の生徒が流れるようにエスカレーターに向かっていく。
ほとんどは知らない生徒。分かってる。
頭の中では分かっているけど、息が止まる。
人の視線がガラスのように突き刺さる。
これが恋なら良かったの、に―
今は楽しいことも考えられない。
時が戻ればなんて何度思っただろう
先生の「大丈夫だよ」も割れた心にかけた布みたいだ。
ある日、違うクラスにいる親友が僕のクラスにやって来た。
「なぁ、俺、この前髪切ったんだけど、坊主似合ってると思う?」
僕のことを何も知らないのか、
知らない振りをしてるのか…
「似合ってるよ。」
出来るだけの笑顔で言う。
「みんなバカにしてくんだよ」
「俺は似合ってるって言ってるじゃん」
「あははっ。確かに。ありがとな。
お前も俺さえいれば無敵だな。」
にひっと笑いながら肩を組む。
冷えきった僕の心に灯火が灯った。
蒼夏
ー開けないLINEー
片思い中の相手から来たLINE
待っていたとは思われたくなくて
すぐ開くのはちょっとな…と指先が止まり
ただただ友達一覧の画面をスクロール
まだ1分すら経ってない
一旦ホーム画面に戻ってTiktokを見ても
今は頭がブロックしてるみたいに入ってこない
この後どんなLINEを送ろう、どんな返しが来るかな
気づけば10分経ってた
この間に今流れてる動画は何回流れただろう
そしてやっと
LINEのメッセージを開く。
「ちょっと今時間ある?電話しない?」
あー予想外。
蒼夏