旅は続く 秋の訪れ 遠い足音 です。
旅は続く
「はぁ。あとどれくらいだろう」
僕の運命の相手との距離は。
まだ出会ってないのかもしれない。
すれ違ったけれど、まだ運命だと感じていないのかもしれない。
キミと想いが重なるまで、キミを探す旅は続く。
キミとの距離がなくなったとき、キミと2人の旅が新たに始まる。
その時が来るのを楽しみに、見えない明日へ進むのだった。
秋の訪れ
「あ、虫の声が聞こえる」
暑い日がなかなか終わらず、秋の訪れはまだかと待ち遠しく思っていたけど、少しずつ、秋の気配を感じられる。
「朝晩涼しくなったし、やっと夏は終わりかな」
「そうだね。日の出は遅く、日の入りは早くなったし、もう秋なんだよ」
「ああ、だから食欲が増してきたのか」
「いやいや、それっていつもじゃん」
秋が深まれば長袖の出番が増え、街が紅葉で秋色に変わる。
夏が長かった分短いかもしれない秋。
十分楽しもうと思うのだった。
遠い足音
耳に届く遠い足音。
その音は少しずつ大きくなり、寝ている僕のところで止まる。
「朝だよ。起きて」
キミが僕を起こしに来る足音。
その音は、毎朝僕に幸せを届けてくれる音なのだ。
「今、何時だ?」
目を開けると、広がっているのはモノクロの世界。
カーテンが閉じているせいか、光が入らず、寝室は暗い。
「まだ起きる時間じゃないんだろう。もう一度寝るか」
と、目を閉じたところで寝室のドアがカチャリと開く。
「おはよう、起きて」
寝室に入って来たキミがカーテンを開くと、目を閉じていても光を感じる。
「おはよう」
ゆっくりと目を開けると
「おはよう」
キミの笑顔が視界いっぱいに広がり、モノクロの世界が色鮮やかな世界へと変わる。
毎朝、キミが連れてきてくれる、色鮮やかな世界。
それはきっと、キミがいるから輝くんだろうな。と思うのだった。
虹の架け橋🌈 cloudy 僕と一緒に 時計の針が重なって パラレルワールド コーヒーが冷めないうちに 涙の理由 永遠なんて、ないけれど  です。
読み直しはしていないので、誤字脱字ありましたら、すみません。
パラレルワールドの意味がわからなくて、違っていたら、合わせて、すみません。
虹の架け橋🌈
「わぁ、すごい」
急に振り返り、感嘆するキミ。何事かと振り返ると
「おぉ」
大きな虹が架かっていた。
「キレイな虹。大きな橋みたいだね」
歩いていた足を止め、キミは虹の写真を撮っている。
「そうだね。虹の架け橋🌈歩いて渡ってみたいね」
「ねー。どこに着くんだろう」
見えている虹の両端が、どこにあるのかはわからない。
「着いた場所が、キレイな所だったらいいな」
「たとえばどんな?」
「うーん…花畑とか」
「いいね。俺は、虹を渡って海外に行けたらすごいだろうな。って思う」
「どこに着くかは行ってみないとわからない。それ、すごく楽しそう」
虹が消えてしまうまで、着いた先がどこがいいか。で盛り上がるのでした。
cloudy
「…今日は曇りか」
カーテンを開けると、どんよりとした雲が、空を覆っていた。
「空が曇っていると、気分が暗くなるのは、何故なんだろう」
外を見ながらため息を吐いていると
「おはよう」
寝室のドアが開く。
「おはよう。どうしたの?」
寝室に入って来たのは僕の妻。普段、朝、寝室に来ることはないのだけれど。
「リビングに来ないから、様子を見に来たのよ」
寝坊してるのかと思ったわ。と微笑むキミの表情が
「cloudyがsunnyになった」
太陽のように、僕の気分を晴れやかに変えていく。
「え?」
「いいや、なんでも」
不思議そうに僕を見るキミに
「キミがいれば、どんな気分でも、sunnyになるな」
僕は微笑む。
「さ、お腹すいたから朝ご飯にしよう」
僕はキミの手を取り、寝室を後にしたのだった。
僕と一緒に
「僕と一緒に、プラネタリウムに行きませんか?」
「え?」
就業後、キミが出てくるのを待ち声をかける。課のみんなと仲が良いキミ。僕と特別仲が良いわけではないが、みんなと同じくらいだと思っている。
「えっと、どうしたの急に?」
イヤそうではないが、突然のことに戸惑っている。という感じだ。ま、逆の立場なら、僕も同じようにするだろう。
「ここのところ、仕事忙しいでしょ。疲れちゃったから息抜きしたくてさ。1人で行くのも淋しいし、一緒にどうかな。って」
「でも…」
と、戸惑うキミに
「…いつもより、元気がないように見えたんだ」
「え?」
「疲れたなぁ。って思ったとき、僕はプラネタリウムに行くんだ。キラキラ輝く星たちをぼんやり眺めてると、癒やされるんだよね。だから、もし、良かったら。だけど…」
誘った理由を告げ、キミの顔をチラチラ見ながら様子を窺っていると
「誘ってくれてありがとう。ご一緒させてもらうね」
キミは微笑む。
「あ、じゃあ行こうか」
オッケーしてもらえるとは思わず、ドギマギしてしまったけれど、思い切って誘ってみて良かった。と思ったのだった。
時計の針が重なって
キミと僕の、時計の針が重なって、動き出すストーリー。
この先何が待っているのか、誰にも、僕たちでさえわからない。
けれど、臆することなく進んで行こう。
キミと僕なら大丈夫。
自信を持って、言えるから。
パラレルワールド
「ねぇねぇ、パラレルワールドって、何?」
読んでいた雑誌から顔を上げ、不思議そうな顔で僕に聞いてくる。
「僕も、詳しくは知らないんだけど、パラレルワールドって、僕たちがいる世界とは別の世界が存在してる。ってことみたい」
「へぇ、そうなんだ。じゃあ、別の世界にはどんな人が住んでるんだろう?」
「パラレルワールドは、この世界と並行して存在している。つまり、住んでるのはこの世界と同じ人たちだね」
「え、そうなの?」
と驚いた顔をしたあと
「同じなら、パラレルワールドって、なくていいんじゃない?」
眉を寄せる。
「ああ、ごめん。説明が下手だった。パラレルワールドは、住んでる人は一緒でも、別の道を選んでるから別世界なんだ」
「別の道?」
「そう。つまり、パラレルワールドの僕は、キミと付き合ってない。ってこと」
と説明すると、キミはホッとしたような顔になる。
「どうしたの?」
「…私、この世界にいて良かったな。って思って。あなたと一緒にいられない。なんて、考えたくもないから」
そう言って、ふふっと笑ったキミを、僕は思い切り抱きしめたのだった。
コーヒーが冷めないうちに
毎朝キミが入れてくれる、コーヒーが冷めないうちに起きないと。と思うんだけど
「ねえ、起きないと遅刻しちゃうよ」
と、僕が起きるまで何度もキミが起こしに来る。それがうれしくて、狸寝入りしているのだった。
涙の理由
キミとテレビを見ていると、キミが静かに涙を流す。
「どうしたの?大丈夫?」
ティッシュを渡しながらそう聞くと
「うん」
ティッシュで目元を拭きながら、キミは答える。
「あの子、幸せになってほしいな。って」
見ていたのは動物番組。捨てられていた子猫に飼い主さんができた。という内容で。
「そうだね」
キミが流す涙の理由。
それは、キミが優しいから。
そして、そんなキミが僕の彼女になってくれて、幸せだな。と思うのだった。
永遠なんて、ないけれど
「うわ~。ぷにぷにふわふわだぁ」
キミの手に触れながら、キミを優しく抱きしめる。
「あ~幸せ」
キミに頬ずりすると、うれしそうに、キミは目を閉じる。
「わかってる。永遠なんて、ないけれど、できるだけ多くの時間、一緒にいようね」
キミの頭にキスすると
「ニャ~」
応えるように、キミは鳴いてくれるのだった。
「おはよう」
「いってきます」
「ただいま」
「おやすみ」
何を送っても、既読がつかないメッセージ。
「まだ、怒ってるんだよな」
些細なことでケンカして。でも大好きだから、仲直りしたい。
「キミの気持ちをわかってあげられなくて、本当にごめん。お願いだから、返事して。キミがいないと、俺は…」
きっと、メッセージで謝るなんて、ダメなんだ。
そう思った俺は、キミの家へと向かうのだった。
空白 君と見上げる月…🌙 センチメンタル・ジャーニー 答えは、まだ 靴紐 もしも世界が終わるなら 秋色 です。
空白
「はぁ」
何もする事がないと、思い出してしまう、キミのこと。
忙しいときは思い出す暇がないから、今は忙しいことが有り難い。
「いつになれば、キミのことを忘れられるかな」
こんなにも好きなのに、離れていってしまったキミを、忘れられずに、未練がましく想ってる。
「早く、キミへの想いを断ち切って、キミで埋まった心を空白にしたい」
空白ができたとき、次の恋に進めそうな気がする。
「ムリに忘れようとするから、忘れられないのかもしれないな」
ゆっくりでいい。前を向こうと思うのだった。
君と見上げる月…🌙
「おいしかったね」
「うん。けど、大分暗くなったね」
君と外食をし、食べ終わって外に出ると、辺りは暗くなっていた。
「前より暗くなるのが早くなったね」
「そうだね。それにこの空だし、余計だよね」
空は一面雲に覆われていて、光は見えない。
「あーあ、残念だなぁ」
空を見上げ、君はため息を吐く。
「どうかしたの?」
「最近忙しくて、ゆっくり夜空を見ることがなかったの。晴れてたら、見れたのになぁ。と思って」
余程残念なのか、君はがっくりと肩を落とす。
「そっかあ。…そうだ。じゃあ次は、海にドライブに行こうか。海の方が、月も星もキレイだと思うし」
そう提案すると
「いいの?行きたい。絶対行こう」
落ち込んでいたのが嘘のように、君の目がぱあっと輝く。
「君と見上げる月…🌙1人で見るよりキレイだろうな」
「そうだね。あなたと一緒に見る方が、輝いて見えるだろうね」
君は俺を見つめ、微笑むのだった。
センチメンタル・ジャーニー
「はぁ~。画像で見るより、遥かにキレイ」
センチメンタル・ジャーニー。という名目で来た、日帰り旅行。男の俺がセンチメンタル・ジャーニー?とも思うけど、来たかったんだよね、ここに。できれば、彼女と一緒にさ。
「けど、フラレちまったもんは、しょうがねぇしな。あんまり本とかでも紹介しないような穴場であるここに、来られなかったことを後悔しやがれ」
写真をたくさん撮り、見せつけるようにSNSにアップする。
「さぁてと。美味いもんでも食って、あいつのことなんか忘れよ」
うーんと伸びをし、美味しいものを食べるため、その場を後にするのだった。
答えは、まだ
どんなにたくさん考えても、答えは、まだ出ない。
「どうするのが最善か。僕にはわからない」
情けないけれど、弱音を吐く僕に
「そんなに深く悩まないで。どんなに悩んでも、なるようにしかならないから」
キミは優しく微笑む。
「それに、あなたには私がいる。だから、1人で悩まないで私を頼ってよ」
その言葉に、僕はハッとする。
「私が聞いても解決にはならないかもしれない。そのときは、あなたと一緒に悩んで、悩んで、悩み抜いて、答えを出せたらいいと思う」
「うん、そうだね」
僕は1人じゃない。一緒に悩んでくれる人がいる。それだけで、重かった心が軽くなったのを感じる。
「じゃあ早速なんだけど…」
と話し出した僕に、キミは笑った。
僕に寄り添い、力になってくれるキミを、これからも大切にしようと思うのだった。
靴紐
ほどけてしまった靴紐を、結ぶためにしゃがみ込む。
「え?あれ?え?え?」
が、紐を結ぼうにも、ぽよんと出っ張ったお腹が邪魔して結びづらい。
「いつの間にこんなに…」
お腹が出たんだろう?
「はぁ…」
何とか靴紐を結んだ僕が、ダイエットを決意したのは言うまでもない。
もしも世界が終わるなら
「もしも世界が終わるなら、何がしたい?」
キミとディナーを楽しんでいると、不意にそう聞かれる。
「どうしたの?急に」
食事の手を止め、キミに視線を合わせると
「この前読んだ雑誌に、アンケートがあってね。あなたならどうするかなぁ。って」
ふふっと笑われる。
「うーん、そうだなぁ。ありきたりだろうけど、美味しいものを食べる。とか、旅行に行く。とか」
そう答えると
「やっぱり、そんな感じだよね」
キミは頷く。
「たださ」
「ん?」
「何をしてもいいんだけど」
「うん」
「キミと一緒。なのは必須だね」
キミに微笑むと
「ありがとう」
キミは頬を紅くするのだった。
秋色
「大分、涼しくなったね」
長引いた残暑が終わり、一気に、秋の気配になる。
「今はまだ半袖1枚で過ごせるけど、薄手の長袖も用意しなきゃな」
歩いているからか、半袖1枚でも、寒くはない。
「そう?私はちょっと寒いかな」
隣を歩くキミは、腕を擦っている。
「でも、少し寒く感じるから、秋だな。って思うけど、周りは全然、秋って感じじゃないよね」
確かに、歩く街の様子、木の葉も緑色だし、秋とは到底言えなそうだ。
「そうだね。でもきっと、景色が秋色になるのはあっという間。今しか感じられない今を、楽しもう」
キミにニコッと笑いかけ、僕はキミの手をつないだのだった。