どこ? 手を繋いで 君と見た景色 です
どこ?
「あれー、どこに置いたんだろう?」
僕は今、テレビのリモコンを探している。いつも置いてある場所では見当たらず、けど、辺りを探しても見つからない。
「おっかしいなぁ、どこ?どこだ?」
クッションを持ち上げたり、ソファをくまなく探しても、やっぱりない。
「うーん」
どうしたものかと困っていると
「どうかしたの?」
キミがリビングに顔を出す。
「テレビのリモコンが見当たらなくて」
「ああ、それなら」
キミは懐からリモコンを取り出す。
「良かった、キミが持ってたのか」
リモコンを渡してもらおうと手を出すと、キミはダメというように、首を横に振る。
「え?なんで?」
そう聞いた僕に、キミは不機嫌そうな顔になり
「おうちデートしてるんだよ?私をほったらかしてテレビを見るの?」
頬を膨らませる。
「…ごめん」
僕は出した手を引っ込め
「一緒に何かしてても別々に過ごしてても、キミがここにいてくれるだけで僕は幸せで。キミをほったらかしてるつもりはなかったんだ」
謝ると
「そっか」
キミは笑ってリモコンを渡してくれる。
「いいの?」
「うん。一緒に見よっか」
キミは僕の手を引くと、並んでソファに座ったのだった。
手を繋いで
楽しいときも、うれしいときも、怒ってるときも、悲しいときも、いつも隣で手を繋いでて。
あなたの手の温もりで、楽しいとき、うれしいときは笑顔があふれ、怒ってるとき、悲しいときは心が落ち着くの。
大好きなあなたに手を繋いでもらえたら、私は幸せでいられる。
私もあなたの手を繋いで、あなたへの想いを伝えるね。
だからずっと、私の手を繋いでて。
君と見た景色
君と見た景色をずっと覚えていたいけど、きちんと覚えておくことは難しいから、代わりに写真をいっぱい撮ろう。
君と行く場所は、どこもキラキラ輝いてて、君の笑顔もキラキラ輝く。
きっと1人では輝いて見えないんだろうな。
大好きな君と一緒だから、どこに行っても楽しいし、忘れたくないと思える。
これからもいっぱい、いろんな場所に出かけよう。
大好きな君と、たくさんの笑顔を残しておきたいから。
「キミのことが大好きだよ」
キミの手を取り伝えると
「ありがとう。私も大好きだよ」
微笑まれる。
大好き。って、短い言葉で伝える愛。
伝えても、聞いても、心が幸せで満たされる。
「これからも、いっぱい大好きって伝えるね」
「うん」
キミは幸せそうに目を細める。
それを見た僕も、幸せなのだった。
学校を卒業してから、初めて同窓会が開催されることを知り、地元に戻ってきた。
「みんなに会えるの楽しみだな」
学生時代しか知らないみんなが、どんな大人になっているのか、俺は今からワクワクしていた。
「でも1番は…」
その当時好きだった子。在学当時は想いを伝えられなかったけれど、今でも想いは忘れられず…。
「会えたら今度こそ…」
そう決心して、俺は同窓会に向かった。
「久しぶり、元気そうで良かった」
「お前もな」
仲が良かった奴らと、久しぶりに会うのに、当時のように話が盛り上がる。
「そういやお前、知ってるか?」
「ん?何を?」
「あの子、今日来てないだろ」
「え?そうなの?」
想いを伝えようと思っていたのに、来てないのか。と、残念に思う間もなく
「ああ。結婚して遠くに行ったみたいで、なかなかこっちに来られないらしい」
追い打ちをかけられる。
「へえ、そうなんだ」
何とか返事はしたものの、俺の心は複雑で。
告白する前に失恋した俺の恋。
あの子が俺の恋人になる。
叶わぬ夢とわかっているのに、この想いを断ち切ることができないのだった。
心のざわめき と 花の香りと共に です
心のざわめき
幼い頃から一緒に過ごした、家が隣の幼なじみ。
お兄ちゃん。と呼んでくれるキミを、僕は妹のように思っていた。
けれど、キミと遊んでいたのは小学生までで、その後は、たまに会って話す。くらいになっていた。
そんな日々が続いたある日、街を歩いていると、友達と楽しそうに歩くキミを見かけた。
「あ……」
僕が見たことのない、かわいい服装のキミ。胸がドキッと音を立て、心のざわめきを感じる。
「………」
妹のように思っていた気持ちが、違うものへと変わったのだと、胸の痛みで知らされたのだった。
花の香りと共に
花の香りと共に訪れる春。
街はピンクに色づき、心がウキウキするのを感じる。
「桜、キレイだなぁ」
桜の木の下で立ち止まり、桜を眺める。
「お花見するなら今が最高のタイミングだよね」
そう思うけれど
「その前に、自分に春が来ないとな」
お花見を一緒にしてくれる、恋人がほしい。と思うのだった。
透明 と 君を探して です
透明
「キミがわかってくれるまで、何度でも言うね。僕はキミが大好きだよ」
笑顔でキミに伝えるけれど、曇ったキミの顔は晴れない。
こんな時僕は思う。
心が透明だったら、嘘偽りのない気持ちを、キミに見せられるのに。って。
でもそれは残念だけどできないから、僕の想いをギュッと込めて、キミを抱きしめたのだった。
君を探して
「僕の未来の恋人は、どこにいるんだろう?」
顔もわからない君を探して、散々探し回るけれど、僕の未来の恋人は現れない。
「焦らなくてもいいのかな」
友達の結婚ラッシュが続き、焦っていたけれど、一度立ち止まったら、自然と肩の力も抜けて、表情が和らいだ。って言われるようになった。
君を探してみたけれど、見つけることはできなかった。けれど、探した時間は、新たな出会いと僕の心を成長させてくれたのだった。