誰も知らない秘密を、僕は持っている。
それは僕が、誰よりもキミのことを好きだってこと。
家が隣同士の幼なじみで、外で遊んだり、どちらかの家で過ごしたり、毎日一緒にいて兄妹のように育った。
けど僕は、キミのことを妹のように思ったことは一度もない。キミが僕を、お兄ちゃんって呼んでいても。
大きくなって、過ごす時間が少なくなっても、僕のキミへの想いは増すばかり…。
だから近々、僕だけが知っている秘密をキミに打ち明けようと思うんだ。
どんな結果になっても、僕は後悔したりしない。
だって、抑えきれない想いをしまい込むことの方が、
僕は後悔しそうだから。
「ん…何時だ?」
いつもなら、自分で目を覚ますことはない。
「ああ、まだこんな時間か。だから、目覚ましが鳴らないんだな」
いつもは、キミが優しい声で起こしてくれるから。けれど、昨日からキミは出張に行っていて、ここにはいない。
「ちゃんと起きなきゃ。って思ってたから、目覚ましが鳴る前に目が覚めたのかもな」
1人で迎えた静かな夜明け。
「1人だと、静かすぎて淋しいな」
夕方にはキミが帰って来るというのに、少し離れただけで淋しさを感じる自分に呆れながら、起きなきゃならない時間まで。と、もう一度目を閉じたのだった。
「ねえ」
俺は、ソファに座る俺の隣にいるキミに声をかけた。
「え?何?どうかした?」
声をかけられると思っていなかったのか、キミは戸惑ったような声を出す。
「何か、言いたいことあるでしょ」
フッと笑うと
「え…」
キミは言葉に詰まり
「何でわかるの?って思った?」
そう聞くと、キミはコクンと頷く。
「キミと俺は、heart to heart communicationができるからね」
そう言って笑うと
「あなたに隠し事はできないね」
キミは口を開くのだった。
やさしくしないで と 永遠の花束 です
やさしくしないで
辛いとき、泣きたいとき、キミが僕にやさしくしてくれる。
ホントはすごく嬉しいんだよ。
でもね、お願いだから、やさしくしないで。
そんなときにやさしくされたら、イヤでも好きになってしまうから。
けど、勘違いしないで。
キミを好きになることをイヤと言ってるわけじゃない。
心が弱ってるときじゃなく、元気なときに、キミのことを好きになりたいだけ。
僕のわがままなんだろうね。
けれど、キミを好きになるなら、笑顔のときがいい。
永遠の花束
「ありがとう」
「大好きだよ」
「頑張れ」
「お疲れさま」
キミがくれるたくさんの言葉。
その言葉たちは、僕の心にあたたかい花を咲かせる。
そして、たくさんの言葉は束になり、僕の心の中で大きな花束になる。
その花束は、僕の支えとなり、いつまでも生き続ける永遠の花束になった。
「たくさんの感謝を伝えたいのは僕の方だよ」
キミの言葉で笑顔になり前を向ける。
大きな花束を抱え、僕はキミに、ありがとうと伝えるのだった。
「はぁ〜、疲れる」
今日は仕事が忙しく、1日中デスクでパソコンを使っていた。
肩は凝るし目は疲れるし、一刻も早く帰りたいが、まだ少し仕事が残っている。
「こんなときは」
財布を取り出し、目当てのものを取る。
「ありがとう」
僕が見たのは、財布の中に隠された手紙。
彼女から渡されたもので、疲れたときに見て、やる気を出している。
「うん、頑張ろう」
隠された手紙に励まされ、僕は残りの仕事を頑張るのだった。