羅針盤 と あなたへの贈り物 です。
羅針盤
僕は今、木々に囲まれた場所で道に迷っている。
前を見ても振り返っても、右を向いても左を向いても、見えるのは高くそびえる木々ばかり。
「さて、どちらに進むべきか」
手にした羅針盤。針が示す方へ進めば、道に出るかもしれない。けれど、出たらそこで、冒険は終わってしまう。
「いつも同じ方向しか行かない安心を取るか、羅針盤の針に逆らって冒険の続きを取るか」
立たされる人生の岐路。迷いながらも楽しめるといいなと思う。
あなたへの贈り物
いつもお世話になっているあなたへ、何かお礼をしたいと思って買い物に出た。
「何がいいかな」
忙しいあなたがゆっくり休めるように、アロマとか、リラックスできるグッズを贈る。
頑張って美味しい料理を作る。
普段使える物、財布とか時計を贈る。
「…どれがいいんだろう」
品物を見ながら考えるけれど、何が良いのか答えが出ない。でも
「何を贈っても喜んでくれるような気がする」
受け取るときの、あなたの笑顔を想像すると、自然と笑みが浮かんでしまう。
あなたへの贈り物。それは、受け取るあなたを幸せに、贈る私も幸せを感じられる、私への贈り物でもあるんだろうな。と思った。
誰もが、明日に向かって歩く、でも
楽しい毎日ばかりじゃない。
顔を上げることが難しいほど辛いことや
涙が枯れるほど、泣くようなこと
そんなこともある。
けど、どんなときも僕がいる。
その痛みごとキミを抱きしめるから、僕を頼って。
でも、僕が辛いときは、キミに抱きしめてほしい。
そうやって2人で支え合って、恐がらずに明日に向かって歩いて行こう。
ただひとりの君へ伝えたい。
君という存在に、代わりはいない。ということ。
君に良く似た声、姿の人は探せばいるのかもしれない。
けど、僕が愛してるのは君だけだし、愛せるのも君だけ。
ねえ、君にとっての僕は、どんな存在なんだろう。
僕が君を想うように、君にも僕を想ってほしいな。
いや、そう想ってもらえるように、これからもずっと、今以上に君を愛していくよ。
握っていた手を、パッと開いてみる。
開いた手のひらには、何がある?
何もない?いや、見えない、感じないだけで、空気が乗っている。
空気だけじゃない。きっと見えない、感じないだけで、何かは乗っているのだろう。
「まるで、僕の手のひらは宇宙みたいだ」
宇宙みたいに、わからない何かを乗せている。
見えない、感じない、手のひらの宇宙に、ワクワクが止まらないのだった。
「良い天気だな」
よく晴れた休日。買い物をするため街を歩いていると
「わっ、帽子が」
風のいたずらにあう。
「あ、待って」
後方を振り返ると、飛ばされた帽子がコロコロと転がっていた。
「風、吹いてなかったのに」
慌てて追いかけると、視線の先、女性が拾ってくれているのが見えた。
「すみません。拾っていただきありがとうございます」
女性の前に立ち、お礼を言うと
「いえ。さっきの風、強かったですね」
女性はにっこり笑う。
「あの、何かお礼を…」
「お気遣いなく」
「でもそれじゃ、俺の気が…」
というやりとりをし、
「わかりました。行きましょうか」
女性と一緒にカフェに行けることになる。
「これも、風のいたずらかな」
風のいたずらで知り合えた女性。このあと、この女性が俺にとっての大切な人になるのは、また別のお話し。