Ring Ring…
と音を鳴らしながら、キミが近づいてくる。
「どうしたの?」
頭を撫でると、キミは、座った僕のひざに手を乗せ首を傾げる。
「ん?ひざに乗る」
再び頭を撫でると
「にゃーん」
うれしそうな声を上げ、僕のひざに乗る。
「にゃーん」
僕のひざの上から僕を見上げ、甘い声で鳴くのは…
「はいはい」
優しく体を撫でると、キミは体を丸め、目を閉じたのだった。
人生という長い道のりを歩く中で
困り事や悩みを抱え、立ち止まることがある。
「どうしたの?何かあった?」
「え?」
「難しい顔してるから」
仕事をどう進めたら良いか。と考えていただけなのだが、そんな表情をしていたらしい。
「ああ、仕事のことでちょっとね」
「そっかぁ。私にはあなたの仕事のことはわからないけど、あなたの思うようにやれば大丈夫だよ」
キミはニコッと笑う。
「…ありがとう。頑張ってみるよ」
僕が立ち止まると、キミは追い風のように僕の背中を押してくれる。
キミの笑顔に応えるためにも、仕事を頑張ろうと思うのだった。
君と結婚して家族になって
君と一緒に何をしよう?
僕と君の趣味。スイーツを食べに、いろんなお店に行ってみようか。
ホールケーキを切らずに、2人で食べてみたい。って言ってたよね。それもしよう。
2人でいろんな場所に旅行に行く。そういうのもいいよね。
けど僕は、何もしないで部屋でのんびりする。それだけでもいい。
だって、君と一緒にいられるだけで、僕はこんなにも幸せだから。
「良い天気だね」
キミと並んで街を歩きながら、空に向かって腕を伸ばす。
「そうだね。穏やかに晴れて、まさに冬晴れ。って感じだね」
マフラーに顔を埋め、キミはニコニコ笑う。
いつもは車で通る道。そこを、天気も良いし、たまには歩こうよ。というキミの提案で、歩いていた。
「あ、見て見て、こんなところに花が咲いてるよ」
キミは足を止め、しゃがんで花を見ている。
「ホントだ。いつもみたいに車で通ってたら、気付けなかったよね」
僕も隣にしゃがみ、花を見つめる。
「また、温かい日は歩きで出かけようか」
「うん、そうしよう」
穏やかに晴れた冬晴れの日。僕たちの心も温かくなったのでした。
自分が考える幸せとは
自分がいなくなった時、悲しんでもらえること。
そして時折、こんなことあったよね。
って思い出してもらえたら、さらに嬉しいかな。
と思います。