買い物を済ませ、家路を歩いていると、
通りかかった公園で1人ベンチに座り、
項垂れているスーツの人を見かけた。
「…大丈夫かな」
気になって足を止め、見ていたが、
その人は微動だにせず、日だけが暮れていく。
「…帰ろう」
哀愁を誘うその姿を見ていたら、もうすぐ帰ってくる彼が恋しくなり、家へと急いで帰るのだった。
洗面台で顔を洗い、鏡の中の自分を見つめる。
「白髪も増えたし、年取ったな」
鏡の中の自分にハハッと笑うと
「そんなの、当たり前でしょ」
と、背後から声がする。その声に振り向くと、キミが立っていた。
「子どもたちも成人して、社会人として働いてるのよ。年取るのも仕方ないわよ」
そう言って、キミはふふっと笑う。
「この先、もっと年を取ると、シワが増えたり、髪が薄くなったり、見た目がだんだんと変わっていくんでしょうね。でも、それでいいじゃない。どんなあなたでも、私は大好きよ」
恥ずかしそうにキミはふわりと笑う。
「そうだな。このまま二人でゆっくり年を重ねていこう」
キミの手を握り、微笑み合ったのだった。
眠りにつく前に、今日の出来事を振り返ると
今日も仕事で疲れたな。ばかりだ。
でも、そんな毎日の中でも
コンビニの新商品、おいしかったな。
今日は電車で座れた。ラッキー。
並ばなくても、すぐに店に入れてランチができた。
と、小さな幸せが時々ある。
同じような毎日の繰り返し。
だけれど、たまにある小さな幸せを大切に
これからも過ごしていきたい。
キミと一緒にいたくて
勇気を振り絞って伝えた想い。
受け入れてもらえて、愛を誓い合って
感極まって、結婚式で流した涙。
僕は、このときのことを永遠に忘れない。
これからずっとキミの隣で、キミを一番に幸せにできる。キミの夫としてその役割をキミからもらえた。
僕は世界一の幸せ者だね。
僕以上にキミを幸せにするよ。
愛してるよ、永遠に。
理想郷とは
想像上に描かれた理想的な世界
らしい。
理想的な世界。ってきっと、争いがなく、みんなの差がなく、平等に暮らせている。
って感じなのかもしれない。
けど、僕が考える理想郷、理想的な世界は、実現できていると思う。
僕がいて、愛する妻と子どもがいて、笑顔で楽しく暮らせている。
ちっぽけだな。って言われるかもしれない。けれど、小さくても幸せを感じられる今の生活が、僕にとっての理想だから。
その理想を手放さないように、僕は頑張りたい。