誰にも言えない秘密。
それは、なかなかストーリーは浮かばないけれど、書くことが好きで、このアプリを使っていること。
本当は、身近な人にも読んでほしいな。って気持ちはある。けど、何て言われるか怖いし、恥ずかしいから誰にも書いていることは言ってないし言えない。
「ずいぶん狭い部屋に住んでるんだね」
友達を連れてくると、顔を引きつらせながら、たいていそう言われる。
「何もないね。まあ、狭いから寝るだけで精一杯か」
苦笑されたり、イヤミを言われたりするけど、俺は笑ってるだけ。
なぜ笑ってるのかって?そのイヤな言葉たちが、俺の原動力になるから。今はこんな狭い部屋に住んでいるけれど、いつか、そいつらを見返すくらい、広い部屋に住んでやる。
ここは、俺の夢への第一歩。ここから、俺のストーリーは進んで行く。
「ごめんなさい」
そんな一言で、膨らんだキミへの想いは一瞬で割れる。ああ、好きだったのにな。何でダメだったんだろう。失恋の痛みが、オマエはダメな奴だと、底へ突き落とす。自分を好きになってくれる人なんているのかな。と考えたところで、大好きな人と、ずっと一緒にいたい。その願いが通じることの奇跡を、強く感じた。
きっと俺はまだ、その人に出会っていないだけ。そう無理やり信じて、痛みを閉じ込める。長旅になるかもしれない。けれど、奇跡を見つけに俺は歩こうと決めた。
正直に生きるって、難しいことだと思う。
イヤだな。って思っても生活があるから仕事はなかなか辞められないし、逃げたいことから逃げられないし、自分に嘘をついて生きている人は多いと思う。
けどね、キミにだけは正直でいたいと思う。どんなに恥ずかしくても、好きって気持ちは隠さず伝えるし、怒られても、イヤなことは伝えたい。それで、俺のことを知ってほしい。
キミも俺には正直に、何でも言ってほしいんだ。俺もキミのことをいっぱい知って、もっと好きになりたいから。
しとしとと降り続く雨を窓際で見つめ、キミは盛大なため息を吐く。
「雨、止まないね」
ため息の原因がわかっている俺は、うらめしそうに雨を見つめるキミに苦笑する。
「洗濯物は乾かないし、雨だと、外に出るのが億劫なんだよね」
「あー、それはあるかも」
俺は窓際に佇むキミに近づき
「でもさ、外に出ないってことは、家でキミと一緒にのんびり過ごせるってことでしょ。それは嬉しいな」
背中からキミをギュッと抱きしめる。
「梅雨の時期は始まったばかり。俺と一緒に、梅雨の楽しい時間の過ごし方、探そうか」
キミは俺の方に顔を向けると、笑って頷く。俺はキミに笑い返すと、唇にキスをしたのだった。