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4/4/2023, 9:50:51 AM

「1つだけ、残ったね」
美味しいと評判のクッキー。
「一緒に食べようと思って買ってきたよ」
と、持って来てくれた。
「ありがとう。コーヒー入れるね」
2人分のコーヒーを入れ、早速いただく。
「美味しい」
「うん、美味い」
手が止まらなくなるほどの美味しさに、クッキーは一気に減っていく。そして
「1つだけ残ったね。最後の1つ、食べて」
キミは最後の1つを俺に差し出す。
「ありがとう。でもさ」
俺はクッキーを受け取ると、それを2つに割り
「一緒に食べたほうがさらに美味いよね」
割った片方をキミの手に乗せる。
「そうだね。ありがとう」
こうして、最後の1つを仲良く食べたのだった。

4/3/2023, 9:58:37 AM

「あなたの大切なものってなあに?」
のんびり過ごす休日。テーブルで3時のおやつを食べていると、目の前のキミが不意にそんなことを聞いてきた。
「何?急に」
ドーナツを食べる手を止め聞き返すと、今読んでいる雑誌に、あなたの大切なものは何ですか?というアンケートの結果が載っている。とのことで、俺にも聞いてみたそうだ。
「うーん、そうだなぁ」
ドーナツを一口かじり
「アンケートの結果はどうなの?」
気になったので聞いてみると
「お金だって」
と言われる。
「ふうん、お金ねえ」
ドーナツをもう一口かじり、飲み込んだあと、俺は口を開く。
「確かにお金は大切だけどさ、俺の大切なものは、キミとの生活かな」
「私との生活?」
「そう。愛するキミがここにいてくれる。一緒に笑ってくれる。同じ道を歩いてくれる。本当に毎日幸せで、かけがえのないものなんだ。そのかけがえのないものを失わないために、仕事も頑張れるんだよ。だからさ」
俺はキミの手を取り
「一緒にいてくれてありがとう」
笑顔を向けると
「こちらこそ、ありがとう」
キミも微笑んでくれたのだった。

4/2/2023, 7:33:52 AM

「4月1日。今日はエイプリルフールです。○○さん、何か嘘をつきましたか?」
ソファに座りぼんやりしていると、何となくついているテレビから、そんな言葉が聞こえる。
「エイプリルフール…ね」
あくびをしながらちらりと横を見ると、キミは雑誌を読んでいた。
「せっかくだし、何か嘘ついてみようかな」
そう思い、キミの方に体を向けると
「ねえ」
声をかける。
「ん?なあに?」
雑誌から顔を上げ、こちらを見たキミに
「ホントは、大嫌いだよ」
と言おうと口を開きかけたけど、この言葉を言ったとしたら、エイプリルフールの嘘だとわかっても、キミは悲しい気持ちになるんじゃないか。自分が言われたら、嘘だとしても絶対に傷つく。大好きだからこそ、嘘でもこんなこと言っちゃダメだ。
そんな思いが頭をよぎり
「コーヒー入れるけど、飲む?」
嘘をつくことをやめたのだった。

4/1/2023, 9:59:29 AM

「幸せにします。僕と結婚してください」
プロポーズの言葉を伝えた僕にキミは嬉しそうに笑う。
「はい。よろしくお願いします」
キミの返事に喜ぶ僕に
「でもね」
キミは言葉を続ける。
「私を幸せにしてくれるだけじゃダメなんです」
「え?」
幸せにする。だけじゃ足りなかったのか。と戸惑う僕に
「あなたも幸せになってくれないと」
キミは優しく微笑む。
「私の幸せは、あなたも幸せでいること。なんです。だから、私もあなたを幸せにします」
言われた言葉が嬉しすぎて、胸がいっぱいになる。
「キミが笑ってくれるなら、それだけでいいと思ってました」
僕の言葉にキミは首を振り
「あなたに辛い思いをさせて、私が笑顔でいるなんて考えられません。一緒に幸せになりましょう」
僕の手を握り笑うキミの手を、僕は強く握り返し頷いたのだった。

3/31/2023, 9:53:47 AM

「ありがとう」
「ん?何が?」
「これ、差し入れてくれて」
もらったペットボトルの紅茶を開け一口飲むと、乾いていた喉が潤う。
「ああ、別に」
ベランダの手すりに寄り掛かり、彼は吸ったタバコの煙を空へと吐き出す。
「ムリすんなよ」
二人しかいない静かな屋上。彼はそう言うと、私の頭に手を乗せる。
「え?」
驚いて彼の方を振り向くと
「何気ないふりして笑ってるけど、俺にはわかるよ」
よしよし。と、労うように頭を撫でられる。
「ここには俺たちしかいない。我慢すんな」
優しい声で呟かれたら、もうダメだった。泣かないようにと頑張って作っていた笑顔が崩れる。
「ほら、俺の胸貸してやるから」
彼は私を抱き寄せると、私が泣き止むまで優しく背中を擦ってくれたのだった。

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