「幸せにします。僕と結婚してください」
プロポーズの言葉を伝えた僕にキミは嬉しそうに笑う。
「はい。よろしくお願いします」
キミの返事に喜ぶ僕に
「でもね」
キミは言葉を続ける。
「私を幸せにしてくれるだけじゃダメなんです」
「え?」
幸せにする。だけじゃ足りなかったのか。と戸惑う僕に
「あなたも幸せになってくれないと」
キミは優しく微笑む。
「私の幸せは、あなたも幸せでいること。なんです。だから、私もあなたを幸せにします」
言われた言葉が嬉しすぎて、胸がいっぱいになる。
「キミが笑ってくれるなら、それだけでいいと思ってました」
僕の言葉にキミは首を振り
「あなたに辛い思いをさせて、私が笑顔でいるなんて考えられません。一緒に幸せになりましょう」
僕の手を握り笑うキミの手を、僕は強く握り返し頷いたのだった。
「ありがとう」
「ん?何が?」
「これ、差し入れてくれて」
もらったペットボトルの紅茶を開け一口飲むと、乾いていた喉が潤う。
「ああ、別に」
ベランダの手すりに寄り掛かり、彼は吸ったタバコの煙を空へと吐き出す。
「ムリすんなよ」
二人しかいない静かな屋上。彼はそう言うと、私の頭に手を乗せる。
「え?」
驚いて彼の方を振り向くと
「何気ないふりして笑ってるけど、俺にはわかるよ」
よしよし。と、労うように頭を撫でられる。
「ここには俺たちしかいない。我慢すんな」
優しい声で呟かれたら、もうダメだった。泣かないようにと頑張って作っていた笑顔が崩れる。
「ほら、俺の胸貸してやるから」
彼は私を抱き寄せると、私が泣き止むまで優しく背中を擦ってくれたのだった。
遅れちゃいましたが、見つめられると。です。
キミを見つめると、頬を赤く染め、恥ずかしそうに微笑む。その姿が可愛くて何度も見つめてしまう。
「私が見つめても、あなたは普通だよね。私ばっかり好きみたいで悔しい」
って、俺のことを見つめてキミは言うけど、キミに見つめられると、顔に出ないだけでドキドキしてるんだよ。
「俺の方が、好きだと思うけどな」
キミの手を取ると、その証拠を示すように俺の胸に当てたのだった。
好きじゃないのに、気づくとあいつのことを目で追ってる。
幼馴染?腐れ縁?なだけで、別に好きじゃない。
彼女がいたこともある。あるのに、あいつに恋人ができたと聞いて、ズキッと胸が痛んだのは…。
あいつのこと、好きじゃない。好きじゃないのに、好きじゃないはずなのに…。
自分の気持ちに気づかないふりをするのは、そろそろ限界。当たって砕けるかもしれないけど、あいつには迷惑な思いかもしれないけど、伝えないと先に進めない。
そう決意した俺は、あいつに会って話すため、スマホを強く握りしめ、通話ボタンを押したのだった。
俺の人生は、晴れ時々くもり、ところにより雨。
イヤなこともあるけれど、楽しく過ごせることの方が多かった。でも、イヤなことのなかでも、一際大きく、心の中に大雨を降らせるような出来事が稀に起こる。そんな、泣きたくなるほど落ち込んでるとき、そばにいてくれるのがキミで。
キミは、俺がイライラして八つ当たりしても、笑顔で受け止めて、優しく包んでくれる。
俺の大雨を大きな虹にかえてくれる、キミという太陽がいてくれるから、俺は歩いていけるんだね。
これからは、俺がキミの太陽になれるように頑張る。だから、この先も一緒に、晴れ時々くもり、ところにより雨の人生を歩いてください。