寿ん

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6/13/2025, 4:45:41 AM

『I love』


すきよ。
わたしをなぞるその目が。

すきよ。
わたしを開くその指が。

だいすき。
わたしに心をくれるあなたが。

今、わたしを読んでくれたあなたが
すきよ。

5/28/2025, 10:29:25 AM

『さらさら』


一昨日ね、スマホ手に持ったまま、駅まで急ぎ足で歩いてたんですよ。

帰宅ラッシュでね、人の波、波、もう大変。

でも次の電車逃したら、帰りのバスがなくなっちゃうからね、がんばって間に合わせないと。
田舎に住むってそーゆーことがヤだよねえ。

そうそう、それでね。
定期ケース出したりしまったり、傘開いたり閉じたり、まあいろいろしてたから、うっかり画面を触っちゃってたんだろうね。

電車に間に合って、ふとスマホみたらタイマーがスタートしてるの。しかもあと40秒ぐらいで鳴っちゃうし。

あわててとめてさ、そしたらタイマーのタイトル?みたいなのも入力しちゃってたみたいで、思わず笑っちゃったよね。
だってこう書いてあったんだよ。

『ささららサラサリラさんラフならららさハラハらぶはらはら ふ』

5/27/2025, 10:13:45 AM

「これで最後」


終わりにしよう、と言われました。
2年です。一緒に住んでいた期間だけで、2年。交際し始めたのはさらに2年前。


どうして?
他に好きな人でもできた?


尋ねると、


そうじゃなくて


と苦しそうに言うじゃないですか。


そうじゃなくて、もう、好きじゃないんだ


少し寂しくも感じたのですが、こうもはっきり告げられてしまったならば、潮時だということでしょう。
わかった、と答えました。じゃあ最後に、ディナーを食べに行きましょう。


もうこれで最後、これっきりです。
だからもうひとつワガママを言ってみたんです。
ほっぺを指さして、キスしてよって。


罪滅ぼしのつもりか、すぐに優しい唇が頬に触れました。そして妙な顔をしましたね。


ピリリとしたでしょう。でも大丈夫、ふたりおそろいですから。


あなたに毒を盛るのは、これで最後。
わたしが毒を飲んだら、これが最後。


ね、わたしはとっくにあなたのこと、好きじゃなかったんですよ。

5/9/2025, 1:48:11 PM

〈夢を描け〉


『若人よ、大志を抱け。』

なんて言われても、僕にはわからない。

大志ってなに?
若人ってだれ?
それは本当に僕に言ってる?

わからないから無視し続けた。
いつかわかるようになる日を漠然と待ちながら、どんよりとした曇り空を見上げていた。

いつしかポツポツと雨が降り出して、何も見えなくなった。
見えなきゃ困るから、下を向いた。
そのまま歩くことにした。

いつのまにか、大人になっていた。

わたしは思う。
都会の駅の大きな広告に、どこかの国の気球がたくさん浮かぶ風景を見たあのときから、きっと世界の時間は止まってしまったのだ。

わたしだけ取り残されるなんて、そんな寂しいこと言わないでくれ。

あの日抱いた夢が叶わないと知ったのは、たぶん、その翌日だ。いつまでも長々と報われない希望を引きずるなんてミジメだ。

大人になるとは、そういうことなんだ。


わかるかい、だからわたしは君に言いたい。

「夢を描け、若人よ。
それの無意味さを知ったとき、君は真の大人になれるのだから」

4/16/2025, 4:09:54 AM

春恋


はる子、という子がいた。私は彼女が好きだった。
なんてことない、ふつうの女子高生で、私とは違うグループの子たちとよくつるんでいたけれど、だからといってグループ外の人には無愛想なんてこともなかった。

その高い背が好きだった。
その凜とした眉が好きだった。
その長い手指が好きだった。

彼女の手は、隣のクラスの人の家を燃やした。

ニュースは瞬く間に学校中、街中、国中に広まって、彼女は犯罪者になった。
みんな彼女を避けた。学校に帰ってきたら彼女を、みんな、歓迎しなかった。

私でさえも。


家の裏に、桜が咲いた。風が吹いた。花が散った。
はる子の高い背も、凛々しい眉も、もうあまり思い出せない。
ただ、彼女に恋をしていた、それだけをずっと覚えている。

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