『消えない灯り』
今日こそ早く寝ようって思ったから、
早くお風呂入ってご飯食べて洗い物して、
やる事ぜーんぶ終わってベッドに入った。
なのに、もう1時を過ぎようとしている。
何時間もスマホ見て馬鹿みたいって、毎晩思ってる。
スマホ見たせいで全然寝れないし最悪。
部屋の灯りを消して、スマホから手を離せばいいのに。
たぶん、明日も同じことするんだろうなぁ。
『きらめく街並み』
もうすぐクリスマスのせいか、
どこに行ってもきらきら光ってる。
帰りに見ると眩しくて目が潰れてしまいそう。
イルミネーションを見ている人々は、
みーんなかわいくてきれいで楽しそう。
ひとり寂しく帰宅途中に眺める程度の私が
自分でも哀れになってくる。
羨ましいなって思ったから、少し勇気を出して
イルミネーション見に行かない?
って声掛けてみようかなって思ったけど、
無理って言われたら怖くて結局むりだった。
きらきらしている世界に溶け込んでしまいたい。
『秘密の手紙』
誰にも言わないでこっそりと綴ってきた手紙を
鍵付きの引き出しからそっと取り出した。
宛先はない手紙だけれど、気が向いた時は
私も知らない誰かに向けて言葉を連ねている。
私の心臓が止まった時、この手紙は燃え尽きて欲しい。
誰の目にも触れず、あの世へ一緒に持って行きたい。
でも、あなたになら読まれてもいいかもって、
最近はすこしだけ思ってるよ。
『冬の足音』
強い風が吹いて、イチョウが空に舞った。
足元では黄色の絨毯が出来上がっていて、
歩くたびにカサ、と音が鳴る。
今年も冬が来たなぁと、
凍りそうな手でマフラーを巻きながら思う。
『贈り物の中身』
差出人不明の荷物が届いた。
どうも怪しく思って、開けるのを躊躇ってしまった。
気付いたら届いてから1週間が経った。
でも、何故か開けなければならない感じがしたから、
カッターを取り出してダンボールを開けた。
1冊の日記のようなものが入っていた。
やはり名前は書いておらず、私宛で正しいかも不明。
それでも、なんとなくだけど、
これは未来の私からなのではないか、と思った。
書かれている字も、少し方言が入っている感じも、
私のような気がしてならない。
どういう仕組みかも分からないけれど、
きっと未来にいる私は生きていて、
今いなくなると未来にいる私も消えてしまうから、
とめようとしているのかなって、思った。
もう少しだけ、がんばってみようかな。