鏡花 水月

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12/3/2025, 3:03:26 PM

『冬の足音』

強い風が吹いて、イチョウが空に舞った。
足元では黄色の絨毯が出来上がっていて、
歩くたびにカサ、と音が鳴る。

今年も冬が来たなぁと、
凍りそうな手でマフラーを巻きながら思う。

12/2/2025, 3:13:39 PM

『贈り物の中身』

差出人不明の荷物が届いた。
どうも怪しく思って、開けるのを躊躇ってしまった。
気付いたら届いてから1週間が経った。
でも、何故か開けなければならない感じがしたから、
カッターを取り出してダンボールを開けた。

1冊の日記のようなものが入っていた。
やはり名前は書いておらず、私宛で正しいかも不明。
それでも、なんとなくだけど、
これは未来の私からなのではないか、と思った。
書かれている字も、少し方言が入っている感じも、
私のような気がしてならない。
どういう仕組みかも分からないけれど、
きっと未来にいる私は生きていて、
今いなくなると未来にいる私も消えてしまうから、
とめようとしているのかなって、思った。

もう少しだけ、がんばってみようかな。

12/1/2025, 12:16:33 PM

『凍てつく星空』

私が生まれた日は雪が降っていたらしい。
満天の星空が見えてたらいいなって思ったけど、
雪が降ってるんだから星が見えるはずがない。

最近決めたことがある。
もしも、
この世から私の大切なもの全部がなくなって、
ひとりぼっちになってしまったら、
誕生日の夜にはきれいな星空が見える場所で、
星を見ながら寝ようって。
きっと寒くないと思うんだ。
だって、大切なものが何もなくて、
既に心は凍ってしまっていると思うから。

きっと、空気は澄んでいて星はきれいだろうな。

11/30/2025, 12:36:08 PM

『君と紡ぐ物語』

どうなるかも分からない未来を考えることが好き。

私はいつか、大きな家を買って、
私の大好きなものが詰まった家にするんだ。
音楽のお部屋を作って、グランドピアノを置くの。
そのお部屋の本棚にはたくさんの楽譜を並べるんだ。
他にもね、
壁一面本棚のお部屋を作って、書斎にしたいな。
このお部屋には小さな冷蔵庫でも置いて、
本とお酒を楽しめたらうれしい。
それでね、私の横にはいつもあなたがいるの。
おばあちゃんになってしわしわになっても、
ずーっと私だけを愛して欲しいな。

私の想像する未来に、
いつまでもあなたがいてくれますように。

11/29/2025, 12:28:52 PM

『失われた響き』

最後に聴いたのは高校2年生の冬だった。
油断していたのがだめだった。
だって、あんな一瞬で落ちるなんて思ってもいなかった。
多分あんなにきれいな音を聴くことはこの先ないし、
それまでもなかった。
あの音の響きは私の中から消えていったけど、
今も余韻がたまに現れて、私の心を掻き乱す。

もしももう一度、
あれほどの音を聴くことが出来るのならば、
私はその人と生涯を共にしたいと思えるでしょう。

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