【10年後の私(僕)から届いた手紙】
『10年前の僕へ
元気に過ごしていますか?
こちらは凄く元気です。
10年前の今頃の僕と言ったらきっと悩んでいた頃でしょう。
君が好きな人、あの人。
今、僕の隣に居ます。
諦めずにアタックし続けなさい。
きっといつかは報われるから。
君が悩んでいる種の1つ、友達ですね。
一緒に騒いだり、はしゃぎまわる仲。
壊れてしまうと思っているでしょう?
今でも、さほど変わらず一緒に騒いだりしてますよ。
最近で言えば、一昨日一緒にお酒呑みましたよ。
皆、何も変わらないです。
大丈夫。
思い通りにならない事も勿論沢山あるけれど、そんなこと気にならない位、楽しいです。
楽しみにしてて。
早く大きくなれよ、僕。
10年後の僕より』
るあ
【バレンタイン】
今日は朝から町中が騒がしい。
なぜだろうか。
何かイベントがあったのか、とカレンダーに目を向ける。
"バレンタインデー"
あぁ、そうか。
今日はバレンタインだった。
すっかり頭から抜け落ちていた。
きっと貴方が居ないからだろうな。
貴方が居なくなってしまってから、何にも身が入らなくなってしまった。
甘いチョコのような生活が恋しいよ。
貴方との生活はとても楽しかったな。
「はやく、帰ってきて、」
このチョコの行く先が無いじゃないか。
貴方の為に作ったチョコ。
バレンタインを忘れていた、なんて寂しさを紛らわすための嘘で。
うっかりチョコを作った自分を忘れようとした。
綺麗にラッピングしたチョコの箱。
包装をビリビリと破き、箱を開く。
不格好なチョコレートが3つ、身を寄せあって並んでいる。
1つ詰まんで口へと入れる。
とても苦い、ビターな味がした。
るあ
【スマイル】
君の笑顔が大好き。
明るくニカッと笑って、周りを巻き込むような笑顔が。
でもね、少し思ってしまう。
君の笑顔を独り占めしてみたいと。
駄目だと分かっている。
君は人気者で、僕に好意を抱いている訳無いのだから。
いつも、横からこっそり君の横顔を見ているだけ。
君の笑顔が欲しいと。
そう、願うだけ。
大好き。
君が僕を好きだったら、なんて。
何度も考えたけど。そんなわけ無くて。
心の中で君が好きだと、ただ、それだけ。
でも、出来ることなら君の笑顔が欲しいな。
"Give me your best smile?"
るあ
【どこにも書けないこと】
どこにも書けないし、誰にも言えないこと。
そんなものはない。こともない。
僕が君を好きなこと。
誰にも言えないことだ。
外を歩けば誰もが振り返る美形ので、クールビューティーと騒がれる君を、こんな僕が好きなこと。
きっと馬鹿にされる。
この思いは胸の中に秘めておくと、決めたんだ。
なのに。なのに。
君が思わせ振りな態度をとるから。
他の人には素っ気ない態度をとるくせに、僕の前ではニコニコと笑っている。
その度に僕の心はドクドクと脈打つのだ。
「ねぇねぇ、何してるの?」
きゅるんと首を傾げる君。
心臓がうるさい。
このままだとうっかりやらかしそうで怖い。
誰にも言わないと、どこにも書かないと、決めたのに。
僕は口を開いた。
「ぇ、と。君が、好きだなぁ、、って。」
るあ
【溢れる気持ち】
あぁ、好き。好き。好き。好き。好き。
あなたは僕の愛が重いことを知らない。
一度は隠そうとしたのだ。
でも。抑えることなんか出来なかった。
この溢れる気持ちに蓋をしても、ガタガタと動いて溢れ出てしまう。
許してください。
あなたを愛しているからなんだ。
こんなことをするのも。
あなたを部屋に閉じ込めて、画面越しに眺める。
もう慣れてしまったのか、俯いて諦めている様子だ。
絶望に染まるあなたも凄く良い。
前の希望を捨てずにもがいていた頃も好きだったけれど。
すすり泣く声が聞こえる。
泣いちゃった。
あは。可愛い。
心の中から気持ちが溢れてくる。
ピッピッとタイマーが時間を告げる。
あ、そろそろ夕飯の時間かな。
今行くよ。
待っててね。
るあ