メンタリストダイ子

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4/2/2025, 12:38:49 AM

「はじめまして…」
薄暗い部屋の中で惰眠を貪っていた私は、扉の向こうから聞こえる女声にも鈍重に反応した。
「どちら様でしょうか?」
私が問うと彼女は答えた。やけに熱っぽい声だった。
「貴方と話がしたいのです」
「誰とも会いたくはありません」
「貴方だけを探して今日まで生きてきたのです」
「私だけを?」
その途端、鍵をかけていた筈の扉が強引に開き、私は半ば拐かされる形で部屋を出た。つまり、全てが始まった。

4/1/2025, 12:41:47 AM

人生という結婚詐欺師に誑かされ返済に追われる日々。再会を誓ったあの日から、彼女はただの一度も姿を見せない。

3/31/2025, 5:02:13 AM

自然に対する途方もない罪悪感。憂鬱を運んだのは春風ではなく、私だった筈だ。

3/30/2025, 2:17:33 AM

「作家とは、心中に滴る普遍を受け止めずにはいられない愚者の事を言う。その癖土に染みた一滴こそを作品と呼んだりするのだから質が悪い。我々は価値あるものを創作するのではなく、価値を呼び覚ます読者の鬱憤を代弁するのが仕事です。それ故時には俗悪などと言われますが⸺要は面倒臭い人間なのです」

3/29/2025, 4:43:52 AM

細やかな幸福であっても、凄絶な不幸であっても、自らを創り上げている事に変わりはなく⸺いや、それらの反復が堆積した結果こそが現状であり、自己と向き合う上では認知の欠かせないものである。革命を望むのなら尚更だ。饗膳のない宴など存在しない。未だかつて、捕食者が獲物に敬意を払わなかった事などない。

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