「はじめまして…」薄暗い部屋の中で惰眠を貪っていた私は、扉の向こうから聞こえる女声にも鈍重に反応した。「どちら様でしょうか?」私が問うと彼女は答えた。やけに熱っぽい声だった。「貴方と話がしたいのです」「誰とも会いたくはありません」「貴方だけを探して今日まで生きてきたのです」「私だけを?」その途端、鍵をかけていた筈の扉が強引に開き、私は半ば拐かされる形で部屋を出た。つまり、全てが始まった。
4/2/2025, 12:38:49 AM