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8/3/2024, 2:22:27 AM

大人数の飲み会。
仲のいい同期に誘われて
行きたくはないけど飲み代かからないなら、
節約にもなるし。

軽い気持ちで来た飲み屋の端で
せっかくなら会費分くらいの食事はしていこうと
費やした労力の元をとるために食べる。

「楽しんでる?全然話してないみたいけど」

誘ってきた同期は隣から遠く離れた席へ移動していた。
こういう交流会ってあんまり好きじゃないんだよね、とか
言いながら楽しそうに喋りかけてくる。
始めは会釈だけだった反応が軽い相槌に変わり
気がつけば名刺を交換して普通に話を聞いていた。

それだけ、それきりだった。

後日、商談のために取引先へ行ったとき
あいにく相方が欠席で不安が残るなか
1人で何とか終えたが、手応えがいいとは言えなかった。
酷い雨が降る外をみて少しいいシャツを着てきたのに、と
気落ちしながらロビーを歩いていると
裾を引かれ、声をかけられた。

「通り雨みたいだからすぐに止むと思うけど、
急ぐなら傘、どうぞ。」

差し出されたのは折りたたみと普通の長傘、2通りの傘。
これは置き傘でこれは今日の予報みて持ってきた傘、と
求めてもいない説明をされ
ふたつあるから心配しないで持って行って!、と
長傘を握らされる。
なんとなく申し訳なくて折りたたみで、と言うが
もはや何が申し訳ないのかもわからなくて半笑いになる。

「なんかわかんないけど、笑ってて良かった!」

返すために連絡先を交換して
お互いに背を向けた頃には雨も小降りになっていた。

それから
いつの間にか仲良くなって
いつの間にか付き合って
いつの間にかいなくなった。

最近、連絡もないし家にも来ないし
何かがおかしいと思ったときにはもう遅かった。

何気ない空間を居心地のよい空間に変えてしまうきみが
思いがけずひとの心を開かせてしまうきみが
不思議な気の遣い方をするきみが
どんな人も笑わせてしまうきみが
輝く笑顔のすてきなきみが
どうしようもなく好きなことに
いなくなってから気がついてしまった。

1つひとつのことは今でも鮮明に思い出せるのに
時が過ぎるのはあっという間で
信じられないほど濃く、速く駆け抜けた。

置き換えダイエット食品を置いて満足するきみも
自分に似合うものがわかっているきみも
棚の角に足の小指をぶつけるきみも
好き嫌いがはっきりしているきみも
自動録画の設定を間違えるきみも
仕事に情熱をかけるきみも
甘いものを買い込むきみも
趣味に没頭するきみも
全て知っていると思っていたはずなのに。

きみのこと、何も知らなかった。

こんなに一緒にいたのに、知らないことばかりな自分が
情けなくて悔しくて腹立たしくて。

こんなに好きなのに

こんなに悲しい
こんなに寂しい
こんなに苦しい

こんなに痛いのに
こんなに居たい



だから、1人でいたい。

5/20/2024, 5:24:34 AM

さようなら、君に会えて良かった。

突然の別れ

5/17/2024, 6:42:17 PM

明日も仕事だから寝なくちゃとおもう
明日も仕事だから君に会いたいと思う

今度の休みはきみに会いたいなとおもう
今度の休みはゆっくりしたいなと思う

もし偶然見かけたら見て見ぬふりをするとおもう
もし偶然見かけたら君に声をかけると思う

次の記念日はきみにプレゼントを贈ろうとおもう
次の記念日はいつだったかなと思う

こんな時間に連絡したら鬱陶しいよね
こんな時間に連絡したら迷惑だよね

返信が来なくてもきみはきっと元気だとおもう
返信が来なくても君はきっとうまくやっていると思う


きみのことをおもう時間は意外と楽しくて
君のことを思う時間は想像以上に充実していて

すれ違っても喧嘩しても
また好きになって会いたくなって
学生時代みたいになりふり構わず走りたいけど
そうもいかなくて大人なふりしてるだけで
もどかしい気持ちは変わらない

明日は電話してみようかな
明日は返信してみようかな

明日は少し素直になってみようかな

仕事終わりの時間なら、
昼休みに事前連絡を入れておけば、
ひとりで考えてしまう布団の中
もう12時もまわって明日が迫る

真夜中

5/8/2024, 6:20:31 PM


きみに会いに行くよ

あの約束から5年、君との間には距離ができてしまった。1人分の食事を用意して1人で食べて、1人で電車に乗り1人で寝る。連絡を取る頻度も減って会うことも少なくなった。生活圏が離れると心も離れていくのか、あんなに好きで恋しかったはずなのに平穏に生活できてしまっている。付き合っているのかも怪しい。だけど変わらない生活を送っている、ただひとつ君がいないというだけでそれ以外は何も変わらない。ふとした時に君を思い出して君の面影を感じるだけ。

君はどうだろう。
君の部屋を訪れた時に借りたあの箸はまだ1番上の引き出しに入ってる?君がくれたあのドライヤーまだ使ってるよ。あの公園は相変わらずチューリップが咲くけどその花壇のそばにカフェができたんだ。そういえばあの美容室はコンビニになってたな。
街は思ったよりも色の変化があって、時間は想定よりも過ぎていた。久しぶりに散歩しようよ、と言えないこの距離を久しぶりに寂しく感じた。



5年前のあの約束、きみは覚えているかな。知らない街で過ごす日々、初めはとても新鮮で楽しかったのにきみがいない生活は思っていたよりも静かで。普段は気にならないのに洗濯物の量とか物音のしない部屋とか気がつけばひとりで作ったカレーを1週間も食べてる。なんとなく電話しようかなって思ってやっぱりやめてパソコンとにらめっこしながらのご飯。気楽で自由で悪くないけどどこか満たされない感覚が心をよぎる。環境が変わると人の心も変わるのかな。

きみはどうかな。
おそろいのマグカップまだ使ってくれてる?お目付け役として置いてきた方が良かったかな。あの電車はよく遅れるけど遅刻してない?そういえばあの駅ナカの雑貨屋さんで買ったお菓子、意外と美味しかったよね。あの公園のチューリップみながらまた食べようよ。
やりたいことはたくさんあるのに思うことは変わらないまま、時間だけが過ぎて置いていかれた気分。



今日も遅延しているあの電車に揺られる。誰かの頭の隙間から覗いた液晶に映るニュースの表題。

「ノストラダムスの予言 再来か」

未明に発表された宇宙開発企業による文書には白亜紀に恐竜を滅亡させたものと同規模の隕石が近日中に地球へ衝突する、と書いてあるらしい。他のニュースと同等の扱いで流れていったが流していい話題ではないような、でも真に受ける話題でもないような。朝の寝ぼけた頭に酸素の薄い車内ではまともな思考が働く気がしなかった。
見間違いかもしれない。
防御本能だろうか、見て見ぬふりをする。
そんなわけはない。あんなに恐れられていたノストラダムスの予言だって的中はしなかったんだ、結局世界は滅亡しなかった。車は飛んでないし火星に移住もしてない、天気予報だって参考程度でたまに外れるんだから隕石予報だって外れるかもしれない。
でももし、外れなかったら?
目の前のパソコンの検索窓に打ち込んで1度実際の文書に目を通してみよう、話はそれからだ。来ないなら来ないでいい、むしろその方がいいんだから信じるかどうかはそのあとで決めようとファイルを開いた。

あした・・・?
確かにこの数字の羅列は翌日の日付だ、まさか。
でももし、本当に今日が最後なら少し自由になってみてもいいかな。もし外れたら明日からも変わらない毎日を過ごせばいい。少し刺激的な日だったと振り返ればいい。そうだ、次に君と会ったらこの話をしよう。きっといい笑い話になる、君はケラケラと笑ってくれるに違いない。
適当な理由をつけて午後休を申請し会社を出た。こんなに人の少ない電車はいつぶりだろう。端の席に座ってぼーっと窓の外を眺める。ちょっと乗り過ごしたりしてみようか、どうせ咎めるものはないんだから。大きめの駅の名前が連呼されて思い出した。君の好きな雑貨屋でお菓子を買って帰ろうかな、次に君と会ったら一緒に食べよう。
今日はなんだか君のことばかり考えてしまう。
自宅の最寄り駅を目指し反対方向の電車に乗り、また同じ席に座るとぼーっと外を眺める。息を切らした人が階段から走って来るのが見えた。

見覚えのある服装のその人があげた顔を見て驚く。どうして君がここにいるの?遠くから来たとは思えないほど軽装で微笑んだ君は開口一番に言った。


休み取ったの。だって約束したでしょ

明日世界が終わるなら
きみに会いに行くよ、って