届かぬ想いを胸に抱いて。
どうして想いを伝えるのはこんなに難しいのかな。
あなたへの気持ちはこんなにも大きなものなのに、それはあなたには伝わらないのだから。
誰にだって、そんな想いはあるのだろう。
ありがとう。
ごめん。
大好き。
みんな言いたかった言葉のはずなのに、チャンスがやっと訪れたら。
なぜだろう、胸の奥に隠れてしまう。
恥ずかしいとか怖いとか、さっきまでは見ないふりしてた感情が溢れてきて、わたしたちの脆い勇気は簡単に崩れてしまう。
そしてまた何も無かったことにして、いつも通りのすまし顔で日々を過ごす。
もし、全ての人々の想いが一気に溢れ出たなら。
恥ずかしいかもしれない、怖いかもしれないけど、そっちの方が、楽なのかも。
でも実際にはそんなこと起きっこないし、結局わたしたちは頑固で、心の金庫には南京錠がかかったまま。
でもそれを開ける鍵を、わたしたちは知らない。
だから誰かが無理やり扉を破って入ってくるのを、待ってしまうのだろう。
それでもわたしたちが金庫を捨てないのは、伝えられなくても、届かなくても、想いはそこにあるからだ。
いつか、鍵が見つかりますように。
そう、どこかで祈ってしまうからだ。
届かぬ想いはきっと、あなたの胸にも眠っている。
快晴の空。
わたしの心も、こんな風に。
惜しみなく晴れてくれれば、いいのにな。
遠くの空へ、羽ばたいて。
鳥を見つけた。灰色の翼だった。
他には鳥はいなかった。ひとりぼっちだった。
それなのに。
鳥は羽ばたいた。青い空に。
何が待っているかなんて、全く分からないのに。
あ、わたしとは違うなって、何故か思った。
わたしはいつも何かに縛られている。
人に合わせようって、普通のまま生きようって。
そんなことばかり考えてた。
いつか、抜け出すことは出来るのかな。
でももし出来なくたって、別にいい。
でもちょっとだけ、思った。
綺麗だなって。
わたしもあんな風に、羽ばたけたら。
少しだけ鳥の翼を眺めて、そしてまた。
わたしは、日常に帰る。
夕日と一緒に、沈んでしまえ。
「夕日見に行こう」「いいよ」
って、たった二言。
気付けばもう、港に着いていた。
沈んで見えなくなる寸前。
ギリギリセーフなんて笑いあって。
綺麗、なんて言葉さえ出てこないような。
わたしたちには、あまりにも美しすぎる光。
それも、すぐに消えてしまう。
朝が来ればまた日は昇る。
そう知っていても、何故か寂しさが残る。
あなたのこと。ほんとは。
「--だった」「ん? なんか言った?」
この気持ちには、二度と光は差さないけど。
「何も」
一緒に沈んでしまえ。
「帰ろ」「うん」
完全に沈む直前の、淡い一筋の光。
それが、わたしたちの背中を照らした。
君の目を見つめてたら。
君の目は綺麗。
何故か見てしまう。不思議と人を惹きつける魅力がある。
優しさとか強さとか、そんな見えないはずのものが滲み出している。
ちょっと長めのまつ毛、茶色味がかった瞳。
それ以上近付いてはいけないような、それでいてどこか懐かしく、もっと眺めていたいような。
堂々と主張しているようで、少し震え、怯えているような。
君に聞きたい。
君の目には、これまでいったい何が映されてきたのですか。
君の目の奥に残る記憶には、わたしの姿は、少しでも刻まれていますか。
別にわたしの事なんか知らなくていい。触れられなくたっていい。
そう思えたらいいのに。叶わない事なのに。
叶わない事だから。
わたしは、君の目が好き。
君の目を見つめてたら、ちょっとだけ、君の本音が、見える気がするから。