胸が高鳴るとき。
綺麗なものに出会ったとき。
人の素晴らしさを目にしたとき。
未来が輝いて見えたとき。
自分の成長に気付いたとき。
優しい場所を探し出したとき。
やっと目的を叶えたとき。
欲しかったものが手に入ったとき。
いろんなときが、いろんな人を繋いで、この世界はできている。
誰かのときが少しでもいいときになることを、わたしは今日も小さなときの中で祈る。
こんなの、不条理だ。
そう思うことは、誰にだってある。
わたしの方が頑張ってたのに、認められない。
あの子は嘘をついてたのに、みんな信じてる。
わたしは諦めてないのに、忘れ去られる。
あの子も一緒にサボってたのに、見逃される。
わたしは。あの子は。わたしは。
わたしだって。
でも、わたしにとっての不条理が、あの子にとっての条理なのかもしれない。
わたしには報われたって思えることが、あの子からすれば理不尽なのかもしれない。
才能。天才。神様からのプレゼント。
そう呼ばれることが、あの子には不条理だったのかもしれない。
もちろん、その真意を知りたいとは思わないし、知る術もない。
でも、わたしたちはそれを忘れてはいけない。
不条理を嘆くのがいけないんじゃない。
ただ、心のどこかに。
あの子も頑張ってたのかな、って。
小さな祝福の気持ちを、しまっていてほしいだけ。
泣かないよ。泣かないから。
泣かないって決めたのに。
遠くにあったはずの別れは、もう、すぐそこ。
みんな悲しがってたけど、わたしは君と約束した。
絶対泣かないって。
泣いたら負け、相手の言うこと聞くって。
でもそれはあまりにも残酷で。
小さかったはずの気持ちは何十倍にも膨れ上がっていた。
どっちが先に泣いたのかな。
涙で見えなかった。
涙が涙を呼んで、それは拭いようのないくらいに溢れ出していた。
悲しい、寂しい。
君と別れたくない。
結局最後まで、泣いたことは認めなかった。
どっちも泣かなかったって、それでいいじゃん。
でもそれと一緒にこの寂しさも認めなかった。
言わなかった。
君とは永遠にさようなら。
二度と会うことはないと思うけど。
でもどこかで探している。
あなたの背中を。
星が溢れる夜に。
都会じゃ星は見えない。
人工的な光に照らされて、夜でも明るいまま。
でもいつか、満天の星を見たいなって。
あの日約束した。
まだ覚えてるかな。
どこか田舎に行こうって。一緒に旅行しよって。
疲れてたわたしたちは逃げようとしてた。
もちろん、今はそんな暇ないけど。
ときどき思い出す。
そして小さな祈りを空に掲げて。
数秒でいい。街の明かりがすべて消えたなら。
無駄に明るい光が天から去ったなら。
一緒に見れるかな。
星が溢れる夜空を。
ずっと隣であなたを見ていたい。
いつも優しかった。
わたしを守ってくれた。
笑わせてくれた。
悲しみを分け合った。
安心させてくれた。
隣にいるだけで、あったかい。
何も話さなくたっていい。
2人に言葉はいらない。
ただそばに居たい。
あなたの隣で、空を眺めて。
綺麗だねってひとこと、意味もないけど。
あなたにも言えないこと、いっぱいあるよ。
でも言わなくていい。
ただあなたの温度を感じてたい。
ゆっくりと流れる時を見つめたい。
ねえ、あともう少しだけ。
隣であなたを見てていいかな。