こんなの、不条理だ。
そう思うことは、誰にだってある。
わたしの方が頑張ってたのに、認められない。
あの子は嘘をついてたのに、みんな信じてる。
わたしは諦めてないのに、忘れ去られる。
あの子も一緒にサボってたのに、見逃される。
わたしは。あの子は。わたしは。
わたしだって。
でも、わたしにとっての不条理が、あの子にとっての条理なのかもしれない。
わたしには報われたって思えることが、あの子からすれば理不尽なのかもしれない。
才能。天才。神様からのプレゼント。
そう呼ばれることが、あの子には不条理だったのかもしれない。
もちろん、その真意を知りたいとは思わないし、知る術もない。
でも、わたしたちはそれを忘れてはいけない。
不条理を嘆くのがいけないんじゃない。
ただ、心のどこかに。
あの子も頑張ってたのかな、って。
小さな祝福の気持ちを、しまっていてほしいだけ。
泣かないよ。泣かないから。
泣かないって決めたのに。
遠くにあったはずの別れは、もう、すぐそこ。
みんな悲しがってたけど、わたしは君と約束した。
絶対泣かないって。
泣いたら負け、相手の言うこと聞くって。
でもそれはあまりにも残酷で。
小さかったはずの気持ちは何十倍にも膨れ上がっていた。
どっちが先に泣いたのかな。
涙で見えなかった。
涙が涙を呼んで、それは拭いようのないくらいに溢れ出していた。
悲しい、寂しい。
君と別れたくない。
結局最後まで、泣いたことは認めなかった。
どっちも泣かなかったって、それでいいじゃん。
でもそれと一緒にこの寂しさも認めなかった。
言わなかった。
君とは永遠にさようなら。
二度と会うことはないと思うけど。
でもどこかで探している。
あなたの背中を。
星が溢れる夜に。
都会じゃ星は見えない。
人工的な光に照らされて、夜でも明るいまま。
でもいつか、満天の星を見たいなって。
あの日約束した。
まだ覚えてるかな。
どこか田舎に行こうって。一緒に旅行しよって。
疲れてたわたしたちは逃げようとしてた。
もちろん、今はそんな暇ないけど。
ときどき思い出す。
そして小さな祈りを空に掲げて。
数秒でいい。街の明かりがすべて消えたなら。
無駄に明るい光が天から去ったなら。
一緒に見れるかな。
星が溢れる夜空を。
ずっと隣であなたを見ていたい。
いつも優しかった。
わたしを守ってくれた。
笑わせてくれた。
悲しみを分け合った。
安心させてくれた。
隣にいるだけで、あったかい。
何も話さなくたっていい。
2人に言葉はいらない。
ただそばに居たい。
あなたの隣で、空を眺めて。
綺麗だねってひとこと、意味もないけど。
あなたにも言えないこと、いっぱいあるよ。
でも言わなくていい。
ただあなたの温度を感じてたい。
ゆっくりと流れる時を見つめたい。
ねえ、あともう少しだけ。
隣であなたを見てていいかな。
平穏な日常が、ずっと続きますように。
普通の時間を大切にしなさいって大人は言うけど、それってかなり難しい。
だって、当たり前なのだから。
朝が来ることも、ご飯を食べることも、勉強することも、友達とはしゃぐことも、夜寝ることも。
特別なことは起きない。ただ普通の日々が流れていくだけ。
漫画みたいに突然超能力を手に入れたりしない。
初恋の人に再会することもないし、宇宙人も襲ってこない。
ゆったりと、のんびりと。
みんな普通に過ごしてて、普通に悩みがあって、普通に遊んで、食べて、寝て、目を覚まして。
でも、それこそが幸せなのだ。
わたしたちは弱いから、小さな波でも揺らぐ。
でもどこか強くて、雷に打たれても何でもない顔をしたりする。
けど時にはやっぱり休んだり、深呼吸したりして。
みんなの日常。
平穏な日常。
辛いこともあるけど、どこか優しい日常。
ずっと続くなんて保証はないけど、それでもそう祈りたいのだ。
神様。
どうかずっとこのまま、平穏な日常を消さないでください。