「君の名前を呼んだ日」
想いを寄せている女の子をなんて呼べばいいのかと悩まない男はいないだろう。俺ももちろん例外では無い。
悩んだ末、結局名前は呼ばず『なあ、』とか『あのさ』と話しかけてしまう。
ある日の授業終わり、かばんに教科書を詰め教室を出ると、彼女が前を歩いているのが見えた。
今日は会えた、ラッキーとか思っていると、彼女のリュックからキーホルダーが落ちた。ぬいぐるみ系だったから音が鳴らず気づかなかったようだった。
その時、俺の口から咄嗟に下の名前が飛び出た。
自分で気づいたときにはもう遅かった。
シミュレーションは脳内だけのはずだったのに何故か声になっていた。
俺は焦って彼女をまともに見れないまま、とりあえずキーホルダーを手渡した。
少し間が空いてありがとうと言われて顔を上げると、
彼女は頬を赤らめていた。
関係が動いたのは、君の名前を呼んだ日だった。
「やさしい雨音」
しんとした空間に雨音が響く。
会話をしていなくても気にならないほど音が大きくて
心地よい。
雨の日は、晴れの日より心做しか閉鎖されているような感じがする。2人きりなのが、強調される。
同じ雨音を共有しているからなのか、今ならいける気がする、と根拠の無い自信が湧く。
傘忘れちゃって、とか言ったら一緒に帰れたりするかなと淡い期待を抱きながら、かばんから覗く折り畳み傘を見えないよう奥へ押しやる。
すると突然、雨の音しか流れていなかった脳みそを、貴方の言葉が貫いた。
『あのさ、今日一緒に帰らない?』
やさしい雨音が運んできた予想外のハッピーエンド。
暗い空とは対照的に、私の心には太陽の光が差し込んだ。
「歌」
何気なくインスタを開く。みんなのストーリーを見て、時折いいねを押しながら横へスクロールしていく。
ストーリーを見終えて、右上のメッセージをタップし、ノートを見る。
あれ、珍しいな。彼がノートに歌を載せている。風邪ひいただとか課題だるいだとかをぼやいていることはあったが、歌は初めてだ。
BTS好きなのかな、Save MEだって。ジャニーズ一筋で生きてきた私は知らなかった。
韓国に詳しくなくて和訳とか見てみる。
和訳されてるからそう思うのかもしれないけれど、洒落てる曲だと思った。
彼の頭の中には誰がいるのかな。
誰を想って流しているんだろう。
たった1曲の、たった30秒のフレーズに振り回される感覚は意外と嫌いじゃないなと思う自分が面白くて、楽しくて、思わず笑みがこぼれた。
※実はノンフィクション
彼のセンスどうですか?笑
「そっと包み込んで」
太陽の光を瞼の裏に感じ、そっと目を開け起き上がる。
隣を見ると、彼がすやすやと気持ちよさそうに寝ている。その顔をしばらく眺めてから、私ももう一度布団に入り、二度寝の準備をする。
すると、彼が私にふわっと布団をかけ直した。
「あれ起こしちゃった?」と言うと親指を立ててグーサインを返してくる。なんやそれどっちなんって思っていると彼が私を抱き寄せ、ぴったりくっつく。
彼の腕の中に包み込まれて眠る私は、世界で1番幸せだ。
「昨日と違う私」
いつもと変わり映えしない日常だけれど、
少しずつ世界は動いていく。
私も、変わっていないようで変わっている。
昨日より工夫したまつ毛、
今日からつけ始めたアームカバー、
些細な変化を楽しめる人になりたいな。
相手の変化にも気づけるようになりたい。
ちなみに昨日と1番違うところは、電車に乗ってたら上のエアコンから水が漏れて隣の席がびしょびしょになっているところ。笑
ぎりぎりで私は水がかからずに済んだ。
今日は昨日より運がいいかも?