花畑
今日、大好きな彼に告白された。嬉しくて嬉しくて、私の頭の中はお花畑だ。
だって幼稚園の頃からずっと好きだった。皆んなはそうでもないと言うけれど、私にとっては超イケメンだ。スポーツはイマイチだけど、足は速いと思う。だって悪い事をして先生に見つかった時の逃げ足はかなり速い。勉強は〜、私とどっこいどっこいかな?
どこがいいの?って言われるけど、彼の笑顔は最高だと思う。笑った時にできる、目尻のシワはとても可愛い。
彼にやっと告白された私はもう40歳。彼にずっと一途だった私とは反対に、彼はバツイチ。そんな事は関係ない。やっと振り向いてくれた。
私にも春が来た!
頭の中はお花がいっぱい咲いて、お花畑だ!
幸せになろう!
空が泣く
私が彼氏にフラれた日は必ず空が泣く。私の涙を消すように空が泣く。神様は私のこの痛みが分かるのだろうか?辛くて辛くて、自分でもどうしたらいいのかわからないこの気持ち。
でも、わかってくれているのかもしれない。晴れて、スマイルの雲の形だったら余計に辛い。
曇りだったら、どんよりして立ち直れない。
雪だったら、転ばないようにと失恋に集中できない。
思いっきり泣いて、雨が涙を流してくれて、空も一緒に泣いてくれているって思える天気の方がいいのか、、、?
どの道、失恋は辛いんだ。
空が泣いていようが、笑おうが、、、。
家に帰ってお風呂の中でもう一度泣こう! 風邪ひいちゃいけないし、、、。
君からのLINE
君からのLINEは、白いモコモコのパンツを履いたピンクのうさぎのスタンプが多い。
待ち合わせに遅刻すると、今にも泣きそうな顔をしたピンクのうさぎが走って「まってくだちゃい」とか言っているスタンプ。
喧嘩した日のスタンプはうるうるした涙目のうさぎが「ごめんね」と言っているスタンプ。
僕の誕生日には、ケーキを持ったピンクのうさぎが転んでケーキをぐちゃぐちゃにしてしまうスタンプ。これは祝ってくれているんだろうか?
ピンクのうさぎ、白いパンツで検索してみた。どうやら「おぱんちゅうさぎ」と言うらしい。少しマンガを読んでみた。
笑えた。感動した。実に健気で純粋。みんなのために頑張っているのに報われない。うるうるの涙目と分厚いくちびるが可愛い。
直ぐに「おぱんちゅうさぎ」のスタンプを購入した。
それから、僕と彼女のLINEは「おぱんちゅうさぎ」が飛び交っている。頑張れ、おぱんちゅうさぎ、きっといつか報われる、、かな?
命が燃え尽きるまで
私の幼い娘は10年前、連れ去られ林の中で遺体となって発見された。当時は何百人という警察官が捜査に当たったが、犯人は捕まらなかった。
近くに防犯カメラもなく、現場には犯人に繋がるものは何もなかった。年を重ねる毎に警察官の人数も減り、世間から忘れられていった。私は当時、娘が着ていた服と娘の写真を載せた紙を配り、情報提供を求めた。
娘が発見された現場にも何百回も行った。
妻は娘の事件から病に倒れた。
私達夫婦にとって娘は希望であった。全てであった。
ある日、一本の電話、、、。
「娘、可愛かったなぁ。パパ、ママって泣き叫んでたよ。なんで助けに来なかった?ふふふ、、、」
電話が切れた。
私は怒りに震えた。
許さない、絶対に許さない。
この命が燃え尽きるまで犯人を探し、この手で殺す。
待っていろ、必ずお前に辿り着く。
夜明け前
夜明け前、台所で母がお弁当を作っている。トントントン、グツグツグツ、、、。
大工の父の分と、朝練がある僕の分、まだ小学生の弟の分。
毎朝、毎朝、早く起きてお弁当を作る。男三人だから弁当箱もでかい。弟のお弁当には、タコのウインナーや海苔でご飯に飾り付け。
今日のお弁当は昨日の夜からタレにつけていた唐揚げ。
少し手抜きをすればいいのに、いつも前の晩から下ごしらえをしている。
僕が好きな弁当はハンバーグ弁当。僕はハンバーグだけでいいのに、母はきんぴら牛蒡や卵焼き、サラダなんかも付けてくれる。
夜は一番最後に寝て、朝は夜明け前に起きる。
(母さん、いつもありがとう。口では言えないけど感謝しているよ)
さーデカい弁当箱持って朝練だ。
「行ってきま〜す」
「は〜い。いってらっしゃ〜い」