胸の鼓動
私は老人ホームで働く介護福祉士である。月に5回ほど夜勤がある。ご飯の後に口腔ケアをして、トイレに付き添い、パジャマに着替えさせ、オムツの交換をする。水が飲みたい、トイレはどこ?家に帰りたいと、ナースコールが鳴り止まない。夕方の5時から働いてやっと静かになるのが22時ぐらい。自分達もご飯を食べて、記録を書く。その間にもナースコールでトイレに行ったり、ここはどこ?と起きてくる人がいる。
0時半、2人夜勤のうちの1人が仮眠の時間になり、1人になる。
いつもは1人でナースコールや、起きてくる人の対応をして忙しいのだが、今日は静かだ。
記録を書いている時、ふと、暗い廊下の突き当たりを見る。髪の長い高齢の女性。胸の鼓動が早くなる。もうすぐ午前1時。巡視の時間だ。しかし、金縛りにあったように身体が動かない。
女性がすーっと個室に入っていく。金縛りから解ける。
あの個室は、、、。
急いで行って電気を点ける。その部屋の93歳のYさんが息をしていない。ナースを呼び報告する。
Yさんは看取りの方だった。
するとあの女性は奥様?奥様は去年亡くなられている。
あー迎えに来たんだなー。
奥様と一緒に行ってしまったんだ。奥様と一緒でYさんも怖くないですね。
でも、私は少し怖かったですよ、奥様、、、。「こんばんは」ぐらい言って下さいよ。
踊るように
ポケモンGOのポケモンの中に、踊るように現れてゲットしようとモンスターボールを投げると、見事に跳ね除けるポケモンがいる。
キレイハナはオレンジの花を頭に付け、葉っぱのスカートを着てゆらゆら動くが、可愛い顔をしてビシッとモンスターボールを跳ね返す。
チャーレムはインドの踊りのような動きをするが、格闘、エスパーポケモンだから、気でモンスターボールを跳ね返す。
ドレディアなんかは本当に可愛く愛くるしいポケモンだが、クルクル回ってハイパーボールでやっとゲットした。
オドリドリなんて、真面目に踊っている。
パルデア地方のポケモンもこれからどんどん出てくるだろう。
とても楽しみだ♪
さー冒険の旅へ!
時を告げる
私は一年前に医者に余命半年と言われたが、なんとか頑張って一年が過ぎた。
余命を告げられてから半年の間は、部屋の掃除、様々な書類の整理、保険や貯金の整理、お世話になった方々への手紙、両親の墓参り等、忙しく時間が過ぎていった。余命半年と言われたけれど、寝たきりにもならずなんとか頑張れた。でも、半年を過ぎた辺りからだんだんと身体を動かす事が辛くなってきた。食べることもできず、寝たきりになると、今までのことが走馬灯のように思い浮かぶ。
両親との思い出、夫との出会い、子供を産んだ時の感動、仕事での成長、娘と孫を見て微笑ましく思った時、両親を亡くした悲しみなど、私の人生が蘇る。
時を告げる鐘がなる。
幸せな人生だった。
ありがとうと最後に一言。
そして永遠の眠りにつく、、、。
貝殻
鎌倉の由比ヶ浜で見つけた桜貝の貝殻。淡いピンク色のその貝殻は、私達夫婦にとって素敵な思い出である。
10年前、付き合っていた私達はお互いに結婚を意識し始めていた。しかし、小さな町工場で働く彼はお金もなく、デートはいつもこの由比ヶ浜。私が握ったおにぎりと、ポットにいれたお茶を飲みながら、いろいろなことを話した。
「ごめんな、どこにも連れて行ってあげられなくて、でも、社長、優しい人でいい人なんだ。作っている物には自信があるんだけど、人が良いから、あっちの言い値で請け負っちゃうんだよなぁ。だからいつも儲からない。だけど、ああいう職人堅気な人好きなんだよなぁ」
私はあなたも充分優しい人よって思っていた。
そんなある日、突然プロポーズを受けた。
「うちの工場で何年も前から製造、実験していた物がやっと特許を取ることができた。銀行もこれには期待していて、お金も貸してくれるみたいなんだ。そしたら社長がお前、結婚しろって。これが売れなくてもお前だけは守ってやるから彼女と結婚しろって、、。
今は指輪も買ってやれないけど、ユキ、俺と結婚してくれるか?」
私は泣きながら頷く。
そして、私の左手をそっととって、淡いピンクの桜貝を指に乗せてくれた。
あれから10年。特許を取った製品が見事に当たり、工場も大きくなった。
春に産まれた女の子の名前は「さくら」。
あの時もらった桜貝は大切に取ってある。
私達の淡いピンクの思い出である。
きらめき
空にきらめく無数の光。星ではない。未確認飛行物体、UFO。
遂にきた!人類を征服するために彼らはきたのだ。
彼らは高度な知能をもち、肉食である。私達地球人は彼らの家畜のなる。核兵器をもっても彼らを倒すことはできない。彼らはいくつもの星を征服してきた。もはやなす術がない。
彼らと戦うことを諦めた。最後の今日、僕らがやることは音楽を奏でること。
さー最後に皆んなで楽しもう!
世界中の皆んなが楽器を鳴らし、歌を唄う。国歌を唄う人もいれば、静かな子守唄を唄う人もいる。ロックンロールに熱狂し、笛を吹けば犬やオオカミなどの動物も遠吠えをする。
あーこんなにも楽しく最後を迎えられるなんて、本当に人類は素晴らしい。きっと地球人は最強だ!
その時、僕が見ていた空の光が一つ消えた。そしてまた一つ、また一つ。最後、きらめきが全て消えた。 来るのか、来ないのか。
地球が静寂に包まれた。
政府からの発表。UFOは地球を離れた。何が原因かわからないが、
「地球は恐ろしい星だ!宇宙から見た地球人の目は異様なまでにきらめいていた。あの無数のきらめきに勝てるわけがない。もう地球には二度と来ない。」
地球が音楽で救われた。全人類の心が一つになれたのだ。
またいつ宇宙人が襲ってくるかもしれない。でも、僕らはこの地球に生きる人間として絆を大切に生きていこう。
絆が強ければきっとこの地球は守られる。
それを全人類が確信した日だった。