海へ
海へ向かって走った。
叫んで泣きたいのに声が出ない。なんでだ、なんでなんだ。
19時、携帯が突然なった。母が交通事故に遭い先程亡くなったという電話だった。
母は一人暮らしの僕に米や食材、日用品の入った荷物を宅急便で送るため、それを店に持っていく途中で事故に遭ったそうだ。
信号無視をして母に突っ込んできた男は、酔って歩くこともできなかったそうだ。
道路に散乱した荷物の中に手紙が入っていた。
幹太、元気か?
ちゃんとごはん食べてるか?
母さんが時々、行って作ってあげられりゃーいいけど、遠いし神奈川の湘南なんて行ったこともねぇ
海の近くは気持ちいいだろなぁ
母さん、海なんて子供の頃行ったきり、行ったことねぇ
幹太、辛いことがあっても頑張りやー 頑張ったらきっと夢は叶うからな
母さん、応援してるから
じゃあな、たまには電話しろ
母より
母さん、これから帰るからな。
落ち着いたら母さん一緒に海に来ような。どんなに小さくなっても俺がこの海を見せてやるからな。
待ってろや、、、。
裏返し
「嫉妬は愛情の裏返しの表現である」なんて言い訳しても、スマホも勝手に見たし、時々、後をつけたりもした。
「おまえの嫉妬は度が過ぎる。も〜耐えられない」
だってあんたがよそよそしい態度とるからいけないんでしょ。
結局、浮気はしていなかったみたいだけど、、、。
彼のお説教が止まらないので、「嫉妬は愛情の裏返し」の裏返し〜で思い出した事を考える。
誰でも一度はやった事があるだろう。靴下の裏返し。靴を脱ぐと靴下の指のところ左右両方からピロピロピロ〜って糸がでている。
まーいいかって直さずまた靴を履く。
流行の服を試着して、定員さんに見てもらうと
「お客様〜こちらの服はこちらの方が背中になります」
と言われた事がある。
そんなくだらない事を想像していたら可笑しくなって軽く吹き出す。
吹き出した私を見て彼氏が
「おまえ今、笑っただろ。何が嫉妬は愛情の裏返しだ!おまえは俺をバカにしているのか!」
も〜裏返し裏返しってうるさいよ〜。また笑ちゃうよ〜。
ふと彼氏のTシャツを見るとタグが表に出ている。
やだ〜Tシャツ裏返しじゃん。
も〜耐えられない。爆笑。
あ〜彼氏出て行っちゃった。
Tシャツ裏返しなのに、、、。
鳥のように
鳥のように大空を飛びたい、、。
青空を見上げると鷹やトビが翼を広げ優雅に飛んでいる。カモメは空と海面スレスレを気持ちよさそうに飛んでいる。
このように鳥と言ったら空を飛ぶイメージがあるが、鳥だけど空を飛べない鳥もいる。
ペンギンは鳥だけど空は飛べない。あざらしに襲われそうな時、ペンギンも空を飛べたら逃げられるのにって思うけど、きっと南極で暮らすペンギンは海の中で魚を取れなかったら死んでしまうんだろうな。大きな羽があったら海であんなに早く泳ぐのは無理だ。
ダチョウだって飛べない。恐竜が絶滅して、地上が安全になったから飛ぶのを止めたらしい。
ニワトリだって殆ど飛ばない。
スズメだって、大空は飛ばない。飛ぶのはせいぜい、人間の生活圏範囲内である。
それぞれが生きていくために進化した。だから私達も鳥のように大空を飛ぶことに憧れるけど、飛べなくても生きていける私達には羽は生えてこない。
それでも、私は空を飛んでみたい!きっと気持ちがいいんだろうなぁ。
さよならを言う前に
私は明日フランスに旅立つ。貴方からのプロポーズを断り自分の夢を叶えるためにパリに行く。
貴方をまだ愛している。ずっと貴方のそばにいたい。決心が揺らぎそうになる。
でも絶対に後悔はしたくない。
だから貴方とお別れをして私は旅立つ。
成田
彼がきてくれた。最後の一言
「さよならを言う前に、貴方を愛してる。これからもずっと愛してる。だから、幸せになって
今までありがとう、、、
さようなら、、、」
「俺もさよならを言う前に、お前を心から愛している。頑張って勉強してこい!
帰って来ておまえがまだ俺を忘れていなかったら結婚しよう。
だけど、とりあえず、さよならだ!」
彼は私より大泣きしている。
わがままな私を許してね。
失敗するかもしれないけれど、夢のために全てをかけてくる。
さようなら!
いってきます!
空模様
僕は野良猫である。いつも神社の軒下に寝泊まりしている。
今日の空模様は?
晴れてはいるけど、西の空に
厚い雲があるな〜
雨が降るかもしれないな〜
雨が降ると駄菓子屋のおばちゃ
ん僕のご飯持って来られない
からな〜
僕が空を見上げていると、サラリーマンの男性が1人
「おはようタマ、昨日、失敗しちゃって今日は会社行きたくないな〜 天気予報は午後、雷と急な雨に注意って言ってたよ〜 上司に雷落とされるんだろうな〜」
と言って僕の頭を撫でてからトボトボ歩いて行った。
頑張れ!サラリーマン!
次に小学生の集団
「おはようミケ!」
神社の中を皆んなで走り回って、近所の叔父さんに遅刻するぞと怒られて、小学校に向かう。
転ぶなよ!
次にお腹の大きな妊婦さん。
「おはようノラ、あんたも私の安産願ってよ、、、神様どうか元気な子が産まれますように、、」
僕もいつも神様にお願いしてますよ!
駄菓子屋のおばちゃん来ないかな〜。だんだん空模様が怪しくなってきたぞー。
すると神社の賽銭箱を除いている怪しげな男。
ニャ〜〜〜ニャ〜〜〜
思いっきり威嚇。
「おいおい、泥棒じゃないよ」
と言って逃げていく。
賽銭泥棒は許さない!
軒下でゴロゴロしていると、杖をついたおばちゃん。駄菓子屋のおばちゃんだ!
「ソラくん、今日は午後雨だって言うから早めにご飯持って来たよ
ほら食べな」
白いごほんに焼いた秋刀魚、おばちゃんありがとう!
午後、雨が降り出した。
神社に来る人もいない。濡れるのは嫌だから今日は奥の方でゆっくり休もう。
明日は晴れてほしいにゃ〜