【時計の針が重なって】
時計の時間を告げる鐘の音が鳴り響く
私ははっとして駆け出した
後ろから待ってと言う声が聞こえる
それでも私は立ち止まることが出来なかった
止まってしまったらこの夢のような時間が
あっという間に崩れ去ってしまう
気がするから
それでも奇跡を信じて
私は片方靴を脱ぎ捨てた
どうか私を見つけて
そう願いを込めて
【僕と一緒に】
「僕の手をどうぞお姫様?」
「あら、ありがとう王子様」
冗談めかして
僕たちは階段を上る
暗闇がかった空
もうすぐ星が出るだろう
「このままずっと一緒にいれたら良かった」
「あら、ずっと一緒にいれば良いわ」
「…それは出来ないよ」
「どうして?」
「僕は君を幸せには出来ないから」
「そんことないわ」
「もうじき月が出る
そうしたら僕は行かなくてはならない」
「嫌よ、行かないで」
「 、」
「…わかったわ」
僕たちは最後にキスを交わした
「さよなら」
「さよなら」
半透明なった僕の体は
ゆっくりと消えていく
「…私の夢の中であなたは永遠に
ずっと私と一緒に」
さようなら
そして、またね
【cloudy】
「君の返答は不透明で曖昧すぎる」
そんなこと他人から初めて言われた。
今まで何回告白したかわからない。
どうして君なのか
どうして君だったのか
その答えは今になってもわからない。
それじゃあ君は納得してくれないよね?
「どうして君が俺を好きなのかわからない。
俺は男で君も男だ」
そんなの関係ない。
ただ気づいたら
君を目で追っていて
君のことばかりを考えていた
きっかけなんてもう忘れてしまった
ただただ君のことが好きなんだ
「…」
君は黙ってしまった。
空を見れば
今にも雨が降ってきそうな
色をしていた。
どうしてこんなにも不透明で曖昧すぎる
それでも君を好きな気持ちは
消えてくれないんだ。
「はぁ、」
君は溜息をひとつついた。
「なら、俺が納得するまで俺を説得してみろよ」
え?
「だったら少しは君のこと、考えてみるから」
…
……
………
…マジ?
君のことが好きでたまらない。
それは紛れもない真実で。
それでもこの不透明で曖昧で形で表せない感情はきっと偽物ではないはず。
だから好きを形にする代わりに俺は君を抱き締めていた。
そのあと殴られたのは
また別のお話。
【既読が付かないメッセージ】
切ない!
【秋色】
あなたに見せたい
秋の色に包まれた
ワンピース姿の私
きっと可愛くて
離したくなくなっちゃうよ?
…なーんてね💖