【こぼれたアイスクリーム】

夏のベンチ　手には
冷たいソフトクリームが
ふたつ
君は長い黒髪を揺らし
鼻唄を歌う
何でそんなことをするのか
意味が分からない
だけど
口にすることなんて許されない
僕の手に握られたままの
ふたつの
ソフトクリーム
この暑さだ
段々アイスが溶けてきていた
君はお構い無く
歌い続ける
もういい加減にしてくれ
そう思うのに
口に出せないのは
僕が君を好きだから
だからなんでも言うことを
聞いてしまうんだ
どこまで溶けるか
アイスの行く末を心配しつつ
早く君がこっちを向いて
くれることを願ってる

【やさしさなんて】

惨めったらしい
本当のやさしさなんかじゃないなら
要らない

【風を感じて】

学生時代
帰りの放課後
自転車の後ろ
君を乗せて
潮風が薫る
海沿いを走った
君は照れ臭そうに
僕の背中に
腕を回す
僕らの青春が
そこにはあった

【夢じゃない】

夢じゃない
ならなんだと言うのだ
夢の中なのに
夢じゃないなんて
あなたがそんなことを言うから
私は騙されてあげなきゃいけない
だって私はあなたが好き
夢の中でも
あなたが私を見つめてくれる
好きと囁く
そんなあなたが
夢じゃないと言うのなら
私は信じるわ
それが偽りだと分かっていても

【またね】

"またね"

その一言で
どうしてこんなにも
心があたたかく
染まっていくのか
それは他でもない
あなたに言われたからだよ